かつて「不倫は文化」だという発言もあったが、バレたら修羅場が待っている。決定的な証拠を押さえられた男の行く末はどうなるのか――。
離婚問題に詳しいホライズンパートナーズ法律事務所の荒井里佳弁護士はこう語る。
「相手が不貞を認めていない場合でも、不貞行為を証明する写真などがあれば、慰謝料が取れます。逆にいえば、こうした証拠がないと慰謝料は取れません。皆さん、離婚の際に簡単に慰謝料云々とおっしゃるのですが、裁判などになった場合、よほど明らかな証拠がないと支払われません。
そういう意味で、写真や、そのほか不貞行為を示すようなメールやメモは、慰謝料を取るための入り口として最低限必要なものといえます」
とはいえ、男にしてみれば、人のメールやパソコンを勝手に見られては、たまったものではない。これに対して荒井弁護士はいう。
「手紙は夫宛てのものを勝手に開封してはいけません。しかし、例えば開封された手紙や夫のケータイが机の上に置いてあれば、厳密にいえばこれも違法ですが、私は証拠の保全のために見ることが必要な場合もあると思います。
実際、離婚裁判においても、プライバシーの侵害だと指摘を受けることはありますが、裁判所がそれらを証拠として採用することもありますからね」
ただし、妻にとって重要なのはそうした不倫調査にかかったお金と実際に支払われる慰謝料の多寡だろう。慰謝料の額が、調査会社や弁護士に支払う額より少なければ、精神的な満足は得られても、金銭的にはマイナスになってしまう。
少々古くなるが、法務省が1998年に発表した慰謝料の相場がある。それによると、婚姻期間が1年から5年の場合は約199万円ですむが、15年から20年の中高年の離婚では約534万円と結婚年数に比例して高くなる。現在はさらに金額が高くなっているという。
『みんなの不倫』の著書もある行政書士の露木幸彦氏が解説する。
「妻が不倫を理由に離婚を申し立てた場合、夫が支払う慰謝料は年収の30%が目安です。金額でいうと、300万円が相場で、ここには財産分与が含まれています。長年連れ添った夫婦となれば、さらに金額は高くなり、明確に離婚原因があるとなれば、1000万円を払うハメになることもザラです。私が過去に関わったケースでは、年収600万円ほどのご主人が、3000万円の家を妻に渡し、養育費も負担するケースもありました」
それだけでない。妻から不倫相手に慰謝料が請求されることもある。
「私の経験則では、慰謝料の額は200万円というところでしょうね」(露木氏)
ちなみに、離婚訴訟では5回から6回の裁判所通いを経て、和解勧告を受け終わるパターンがほとんどだ。だが、それでも1年以上はたっぷりかかる。
※週刊ポスト2012年7月6日号