昨今、夫の不倫調査を依頼する妻が増えているという。調査報告書は裁判の重要証拠となり、妻に慰謝料をしこたま搾り取られるなど、大きな代償を払うことになる。だがそれだけではない。
不倫した男の、会社での立場はどうなるのだろうか。危機管理の専門家で、リスク・ヘッジ代表取締役の田中辰巳氏は、厳しい対処が待っていると警鐘を鳴らす。
「モラルの高さが要求される金融機関や、組織が内向きなメーカーなどでは、社内不倫が問題になることがあります。こういう場合は、不倫したことが、『社内の秩序を乱す行為をしてはならない』という職務規定に違反すると判断されます」
また、会社の接待交際費を使ってデートをして、それが発覚したら横領となる。これは当然ながら、厳しい処分が待っている。
「相手が元同僚で寿退社している。だけど彼女は部下の奥さんだとしましょう。不倫相手の夫が、このために仕事に支障をきたすような事態となれば、これも会社にとってはマイナス要素ですから処分の対象となります」
社外の相手との不倫が露見して、相手の夫や親が会社に乗り込んでくれば、総務や広報セクションが対応しなければならない。そうなると、業務に無用の支障を生じさせたと判断される。
「相手が取引先の女性社員で、不倫によって会社の仕事に影響が出れば処分対象になると考えられます」
田中氏は、想定される不倫による処分の内容も教えてくれた――。
「まずは社内の地位の1階級降格が考えられます。管理職だったら不適格者とみなされてポストからはずされます。もちろん管理職手当はなくなります」
そして、今後の出世は相当遅れると考えられる。
「場合によっては、万年平社員ということも覚悟する必要があるでしょうね」
馘首はされなくても、職場に居づらくなり辞職せざるを得ないというパターンも多いという。
※週刊ポスト2012年7月6日号