6月19日、6才未満として初めて脳死判定を受けた男児から摘出された臓器の全移植が終了した。
心臓は大阪大学医学部付属病院で10才未満の女児に、肝臓は東京の国立成育医療研究センターで10才未満の女児に、腎臓は富山県立中央病院で60代の女性に、また臓器以外にも左目の角膜は金沢大学付属病院で50代の男性に、そして最後に、右目の角膜が関東地方の病院の入院患者(性別不明)にそれぞれ移植された。
「わが子の体を提供できますか?」
同年代の子供がいる母親たちに改めて聞いてみると、その回答には複雑な思いがあふれていた。
「親子としての短い思い出しかなくて、6才までしか生きてないからこそ、臓器だけでも誰かの体でずっと生きててくれたらと願うかもしれません」(40代主婦)
「まもなく死を迎えなければならないのなら、子供は誰かの役に立ちたい、誰かの体の中で子供は生き続けたいと思うのではないかと思い、臓器を提供すると思います」(40代自営業)
そんな肯定的な意見もあれば、否定的な意見も。
「本当に死んでしまったかどうかわからない“脳死”という段階で、かわいいわが子の“生きている状態のいろんな臓器”を小さい体を切り刻んで提供するなんて、決断できないと思います」(30代主婦)
「たとえ二度と目を覚まさなくても、二度と声を聞けなくても、そばにいてほしいかもしれません。ただどんな選択をしたにせよ、一生、自分が出した答えに悩むことになると思います」(30代会社員)
どんな状態でも子供とは少しでも長く一緒にいたいと願う気持ちと、誰かの命を救いたいと願う気持ちのジレンマ。本誌の調査では7対3の割合で臓器提供に否定的な意見が多かった。
※女性セブン2012年7月12日号