いまや65才以上の高齢者の10人に1人が認知症で、厚生労働省の予測では、2015年には300万人を超えるとも。“完治不能”で“進行する一方”という印象が強いが、早期発見で、運動や食生活の改善で、正しい薬の服用で、認知症の進行は止められるという。
治療法として、最も期待されているのはワクチンだ。
「アルツハイマーはアミロイドというたんぱく質が脳にたまることで神経細胞が死滅、発病します。このアミロイドを病原体とみなす抗体(病原体から体を守るたんぱく質)をつくり、アミロイドを除去するのがワクチンなのです」
と話すのは、アルツハイマーワクチン開発の第一人者・順天堂大学大学院の田平武客員教授だ。
アメリカでは何度も治験が繰り返され、今年9月には最新の治験結果が発表される予定だという。また、田平客員教授が開発した“のむワクチン”についても、製薬会社との共同研究がいよいよ始まった。
「アミロイドはアルツハイマーを発症する20年も前から、脳内にたまり始めると考えられています。そのころにワクチンを接種すれば、発症を遅らせることができるといわれています」(田平教授)
アメリカでは遺伝性アルツハイマー因子を持つ若年層にワクチンを接種し、アミロイドのたまり具合を追跡調査する治験も始まっている。
「早ければ、日本でも10年後に実用化される可能性があります」(田平教授)
一日も早い実用化が望まれるが、現状では、患者はもちろん、家族の負担をできるだけ減らすことのできる治療、そして何より予防が重要だ。
※女性セブン2012年7月12日号