6月29日、国家公務員に夏のボーナスが支給された。国家公務員のボーナスの削減率は過去最高となったが、民間企業のボーナス事情はいかがなものか? そこで週刊ポストは有名企業80社にボーナス緊急調査を行ない、昨夏と今夏の支給額をまとめた。
調査の結果は、まず支給額で昨夏を下回ったのが45社、上回ったのが22社、横ばいが11社である。2社は昨年まで年3回支給で今年から年2回支給に変更したため比較ができなかった。業界ごとに見ていこう。当然といえば当然だが、減額幅の大きさで目につくのが電力会社である。昨夏の組合員平均40万1000円から今夏は「支給なし」となった東京電力を筆頭に、他の電力会社も5万円程度ダウンしている。
「原発停止で火力発電の比重が増し、その燃料費の高騰などが業績を圧迫して、12年3月期は中国電力を除いてどこも大幅赤字となった。それが如実に反映された結果」(第一生命経済研究所の永濱利廣・主席エコノミスト)
それから、昨夏より19万1000円ダウンのソニーを代表に家電メーカー、同じく16万円ダウンの神戸製鋼所を筆頭に鉄鋼メーカーの落ち込みが目立つ。家電メーカーは台湾や韓国の企業に押されて苦戦が続き、決算で大幅な赤字を計上する企業が相次いでいる。正念場だ。
「薄型テレビ戦略で敗れた影響が大きく、世界的シェアを伸ばせる商品も見当たらないので、ボーナスは今後も低水準を余儀なくされそうです。鉄鋼業界は、中国はじめ新興国の景気が低迷したことによる需要減の影響をまともに受けた。大震災によるサプライチェーンの寸断で自動車生産が落ち込んだことが追い討ちを掛け、業績が振るわなかったことがボーナス減につながった」(前出・永濱氏)
※週刊ポスト2012年7月13日号