言語聴覚士として働きながら、優しい年下の夫の潤(青木崇高・32才)とひとり息子とともに暮らすヒロインの緑(木村佳乃・36才)。幸せな毎日を送る緑は、突然、肝臓がんの宣告を受ける。彼女を救える唯一の医師・三島(伊原剛志・48才)は、かつて緑を裏切った初恋の相手だった――。
そんなドラマチックな設定が30~50代の女性の間で大きな話題となっている、ドラマ『はつ恋』(NHK総合・火曜午後10時~)。視聴率も回を重ねるごとにじわじわ上昇中。
今回の脚本を手がけるのは、『やまとなでしこ』(2000年・フジテレビ系)、『ハケンの品格』(2007年・日本テレビ系)などのヒット作で知られる脚本家の中園ミホさん(52才)。
ドラマがスタートして以来、予想以上の反響に、中園さん自身驚いているという。
「私はスイミングスクールに通っているんですが、そこで40~80代くらいの女性たちが“私は三島派だ”“いや、潤ちゃんだ”と盛り上がっていて。10代のころの初恋の話を、私に泣きながらしてくれた80代の女性もいました。みんな自分の“初恋”を語りたいんです。
初恋ってだいたい実らず“悔い”が残るもの。心に傷が残っているからこそ、忘れられないんだと思います」(中園さん)
しかし、なぜ40代以上に“初恋”が刺さるのか。40~50代になると子育てもひと段落。時間に余裕ができたころに増えるのが同窓会だ。そのうえ、最近はFacebookやTwitter、mixi…と、ネットで昔の友達と“再会”するチャンスが多くなっている。当然、そのなかには初恋の相手も含まれる。
埼玉県在住の伊藤亜弓さん(仮名・44才・主婦)は、初恋の相手を“ネット検索”するのが日課になっているという。
「1年前、ふと初恋の相手のことを思い出して、彼の名前をネットで検索してみたんです。そうしたら、ブログを発見して。“今日はハンバーグを食べた”という書き込みを見たら、“そういえば、好物でよくつくってあげたなぁ”と懐かしさがこみ上げてきてしまいました。
いまは結婚して子供もいるみたいで、“日曜日に遊園地に行った”とか書いているのを見ると、奥さんはどんな人なんだろう、とか次々に興味がわいてしまって。彼との思い出にひたる時間は束の間のときめき、現実逃避みたいなものです」(亜弓さん)
昨今、ネットや同窓会で元恋人に“再会”し、不倫する女性が多いことについて、中園さんはこう語る。 「いまは不倫のハードルがどんどん低くなってきて、している人の大部分が“バレなければいいや”と軽く考えています。でも、恋愛ってもっと恐ろしいもので、理性がきかなくなって人を傷つけることもある。
だから、自制する自信がない人は、ツーショットでは会わないほうがいい。全部失って、人でなしになる覚悟のある人だけが、先に進んでいいのだと思います」
※女性セブン2012年7月12日号