消費税増税も現実味を帯びてきて、節約・貯金がより大切になってきたが、お金を上手に貯める方法をファイナンシャルアカデミー代表で著書に『お金の教養』(大和書房刊)などがある泉正人さんに聞いた。
「お金を貯める方法というのはごく単純で、“はいってくる以上に使わない”。それは究極の真理です。でも、ぼくがたどりついたのは、“お金は使わないと増えない”という考え方でした。それは資産投資とかいうことではなくて、“自分への投資”ということ。つまり、“自分にお金をかけても、その金額以上の利益があれば、結局トクをする”と、頭を切り替えたんです。
ぼくの場合、収入が400万円になったとき、2割を貯金して、2割は自分への投資に充てていました。その2割は本を買ったり、セミナーに参加したりというふうに、毎月しっかり使い切りました。
残り6割は生活費ですが、それを家計簿につけるときも、「投資・消費・浪費」の3つに分けて、値段以上に価値があるものは投資として緑のマーカーで線を引く。値段どおりなら消費で黄色、値段以下なら浪費で、赤に塗る。赤を減らしていくことで、無駄遣い体質からすっぱり抜けることができたんです」
また、ファイナンシャルプランナーの鬼塚祐一さんはお金を貯められる人について次のように話す。
「お金を貯めている人というのは、実は細かいことはあまり気にせず、ざっくり考えられるタイプが多いんです。天引き貯金をちゃんとしていれば、残りでやりくりすればいいわけですから、その範囲でなら、大きな買い物をしてもいい。貯める一方で、お金の使い方を知らない人のほうが、いざ老後に投資を始めたときに失敗しがちです」
さらに、前出・泉さんは無駄遣いを防ぐには3つの方法があるという。
「まず、“家にものを置くだけでお金がかかる”と考えること。東京の場合、家賃は1平方メートルあたり平均月3000~5000円。ものが増えれば、それを置くスペースの分まで家賃や住宅ローンを払うことになるんです。ものが少なければ、狭い家でも暮らせますから、家賃も浮きますよ」
2番目は、自分の時給を考えてみること。世帯年収300万円だったら、時給はだいたい1800円。共働きの場合、1人当たり900円です。1万円の服を買いたくなったら、“この服を買うために丸1日働く価値があるか”と考えてみるといい。3番目は、『値札ではなく、本当の“価値”を見る』こと。
多くの人が誤解しがちなのですが、値札の価格には、宣伝費や人件費が含まれています。例えば新作のブランドバッグを10万円で買って、その日のうちにインターネットオークションに出しても、7万円程度にしかなりません。つまり、バッグの本当の価値は7万円なんです。値段がバッグそのものの価値ではないのです。
それを知ったうえで買うならよいですが、10万円だと信じていたら、3万円の損をします。ですから、高価なものがほしくなったら、値札ではなく、まずネットオークションで、そのもの自体の“価値”を知ってから買うことです」
前出・鬼塚さんも、家賃・保険・車など、月々決まってかかる費用の“固定費”についてこのように話す。
「日々の細かい出費を切り詰めるよりも、固定費を抑えるほうが、ぐっと大きな節約になります。住宅ローンの借り換えも有効ですし、保険を見直すだけでも、毎月1万円程度は出費が減ることもあります」
※女性セブン2012年7月12日号