サラリーマンに夏のボーナスの季節がやってきた。隣りの会社、友人の会社と、人の懐事情は気になるところだが、本誌・週刊ポストが有名企業各社にボーナス緊急調査を行ってみると、自動車業界では明暗がくっきり分かれた。
日産自動車、マツダ、ホンダは昨夏よりダウンだったが、トヨタ自動車、日野自動車、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、ダイハツ工業はアップ。
蛇足ながら週刊ポストは、「円高で輸出企業は大打撃を受けている」と大マスコミが報じるニュースは事実と異なると何度もレポートしてきたが、今回のボーナス調査で、そのことが証明された。明暗を分けた理由を、自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの福田俊之氏はこう分析する。
「生産も含めた『海外戦略』と『エコカー戦略』の差が出たという印象です。例えば、三菱自動車はタイに大規模生産拠点を置き、東南アジアで売り上げを伸ばし、タイ製『ミラージュ』を日本に逆輸入する。ダイハツは第3のエコカーといわれ、低燃費・低価格の軽自動車である新型『ミラ』が大ヒット。インドネシアなどアジア進出にも積極的です。こうした企業は戦略が奏効し、業績も堅調に推移している。
一方、負け組の代表であるマツダは、他社に比べて海外生産比率が低く、そのために円高の被害を最も受けて、前期経常利益は約370億円の赤字となった。日産自動車は単独決算では赤字だが、海外での販売増が牽引し、連結決算では5350億円の経常黒字となった。これは前期とほぼ同額で、今夏ボーナスは微減で済んだ」
※週刊ポスト2012年7月13日号