「大阪都構想」に邁進する橋下徹・大阪市長がその“手足”となる24人の新区長を決めた。 公募で選ばれた24区長のうち、民間から登用されたのは18人。上は60歳、下は27歳。前職は元市長から週刊誌記者まで様々だ。
7月1日に採用され、8月に正式就任する新区長は、これまでの部長級から市長に次ぐ一般職トップに位置付けられ、予算編成や人事などの権限は大幅に強化される。中でも注目の北区の新区長を直撃した。
北区は大阪市役所のある中之島や、JR大阪駅を中心とした梅田、「キタ」と呼ばれる繁華街を抱える大阪24区のリーダー格。ここの区長に選出されたのは前加西市長(兵庫)の中川暢三(ちょうぞう)氏だ。鹿島建設の社員時代に1期生として入塾した松下政経塾では、同期に野田佳彦首相がいた。
2005年、故郷・加西市の市長選に立候補して当選。市長時代の6年間は、まさに「既得権者との闘いだった」と中川氏は振り返る。
任期中に取り組んだのは行財政改革。職員数7%削減、年間人件費9%削減、小中学校の再編計画など、橋下改革の先駆けともいえる改革を進め、市の過去の借金を25%減らした。
「その結果、自治労や守旧派職員から散々叩かれた。まるで選挙の頃の橋下市長と同じですよ。議員からの口利きや介入を許さずに、厳正公正な選挙を経て、能力本位で真に優秀な人材を採用・登用すると、不正採用とでっちあげられ、卑劣な人格攻撃も受けました」
中川氏は、区政にどんなビジョンを描いているのか。
「北区は企業や機関が集積し、人材も豊富。民間の力を積極的に活用して行政を効率化し、市民負担を軽減するとともに、規制緩和や成長戦略を推進します。
役所は1か月でできることを2年も3年もかける。即断即決して意思決定を早め、首長がその責任を取る仕組みに変える。民間に任せられることは民間に任せれば、生産性もサービスの質も高まります」
ちなみに政経塾同期の野田首相については、「憎まれず好感を持たれる人物だが、塾時代はおとなしいほうだった。加西市長時代、彼には国から地方への税源移譲や一括交付金化を訴えてきました。
風が吹き“政経塾ブランド”だけで政治家になった者も多く、彼の政治家としての真価が問われている。公約破りの増税は絶対に許されません。社会保障や行財政改革を先送りしたままでの増税は本末転倒です」とバッサリ斬り捨てた。
※週刊ポスト2012年7月13日号