今や日本で最も有名な、あの大家族にいったい何が起きたのか――。
小豆島を舞台に接骨院を営む林下夫妻の5男9女の子育て奮闘ぶりを追ったドキュメンタリー番組『痛快!ビッグダディ』(テレビ朝日系)の最新編が6月23日に放映された。早16回目を迎えたこの番組だが、今回は冒頭から様子が違った。
「夫婦ゲンカ封印。決意の(妻の)断髪」とナレーションで説明。前回、「ついに電撃離婚を決断」と銘打ったように、これまで全編を通して展開された、ビッグダディこと林下清志さん(47)とその妻・美奈子さん(29)の壮絶な夫婦ゲンカがすっかり影を潜め、最後までラブラブムードだったのだ。
放送後、視聴者からテレビ朝日には、
「『どうして夫婦ゲンカを放送しないんだ!』『これじゃあ面白くない』という電話が殺到した」(番組制作会社関係者)
というから、視聴者もガッカリだったようだ。 週刊ポストは4月27日号で、夫妻への取材などをもとに2人は実際にはケンカなどしておらず、逆に仲睦まじく一緒にラーメンを食べたり、パチンコを打ったりしていると報じたが、いよいよ夫婦仲が悪いという設定に無理がきたのだろうか。
例えば、こんな具合だ。林下家の台所。妻の腰にぶつかった夫が、「ごめん」とすぐに謝るも、妻が「ウッ」っと絶句し、夫を睨み付ける映像。妻の姿を受けて、ナレーションが「またしても夫婦ゲンカか」と煽る。確かにこれまでの2人ならば一触即発、離婚寸前になったであろう台所での夫婦のピリピリムードだ。
しかし、ここで夫は、
「妊娠するツボを突いちゃったよ」
妻はその言葉を聞いて、
「マジで? やったァ!」
と、前回までとは打って変わって大喜び。そして、バックに突然なまめかしい音楽が流れだす。ナレーションが続ける。
「二人とも反省したのか、台所での夫婦ゲンカはやめようと誓っていた」
その後もナレーションでは夫婦ゲンカを度々煽るものの、結局、最後まで仲良し夫婦だった。実はこの路線転換には小誌が関係しているのだとか。
「前回の放送後、週刊ポストの直撃に清志さんが『テレビ局が、夫婦ゲンカを見たいという世間のニーズに応えただけ。全ては視聴率のためですよ』と、ケンカをしていないことを認めてしまった。美奈子さんとしては、毎回番組終了後に『鬼嫁』などとネットに書かれるのを気にしていたので、この報道がいたく嬉しかったらしい。それで、『このままじゃイヤ。もっと、いい奥さんにしてよ。本当に一歩下がった妻になるから、ケンカのシーンはやめてほしい』と番組スタッフにお願いしたって、聞きましたよ」(接骨院の患者)
テレ朝としては、夫婦ゲンカを無理強いすることもできず、案の定、視聴率は下がってしまったビッグダディ夫婦は、今回の放送内容に大満足らしいが、この仲良し路線でどこまで引っぱれるのか。
※週刊ポスト2012年7月13日号