今年6月、警視庁が摘発した李春光・中国大使館一等書記官事件。現政権の民主党と「中国人スパイ」とのつながりに国民は驚きを隠せなかった。さらに、李が民主党にも多くの出身者がいる松下政経塾にも在籍していたことにも波紋が広がっている。
中国人が同塾で研修を受ける際に身元調査はなく、19人がすでに卒塾しているばかりか、スパイ育成の温床になっていたとの指摘もある。民主党の情報管理の実態についてジャーナリスト・山村明義氏がレポートする。
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あまりにも無防備な事態に、日本に詳しい中国共産党のある幹部はこう嘯(うそぶ)くのだ。
「今の民主党政権は、国家情報の危機管理意識が皆無に等しい。我々が日本人に近づき、日本の重要な情報を握ることはもはや難しいことではなく、裏の偽装すらする必要もない」
例えば、人民解放軍総参謀部から派遣された中国大使館の駐在武官が、普通の「外交官」として首相官邸の中に白昼堂々と出入りする。あるいは、国会議員の中国出張時に、「スパイ行為」が疑われる中国共産党員を随行員に起用したり、党の“人材不足”を理由に、国会議員の秘書として素性不詳の中国人に名刺を持たせ、日本の重要な情報に接することの出来る地位につけるなどの行為は日常茶飯事。その脇の甘さは、中国への機密情報の「筒抜け政権」と呼んでも良い状況にある。
現実に昨年7月から11月にかけて、同じ東京・永田町の衆参の議員会館で、中国国内からと思われる国会議員のメールがウイルスに感染し、外国へ情報が送られたとされる「サイバーテロ事件」が起きた。にもかかわらず、議員会館では、最近こんな出来事が起きていたという。
「民主党政権誕生後に開館した議員会館では、実は民主党の“事業仕分け”と同様の理由でコストを下げるために入札制度で、民間会社にビルのメンテナンスや清掃を任せている。人の往来が少ない早朝、秘書がちょっと部屋を出た隙に清掃員がこっそりと国会議員の機密書類を見ていたことがあった、というのです。議員会館側は清掃員の身元確認はしないので、中国人が紛れ込んでもわかりません」(民主党議員秘書)
他にも「基本的に通行証の必要な議員会館地下の議員ポストに中国人が手紙やビラを直接投函している」など、類似のケースを耳にすることは後を絶たない。
このように「中国人スパイ」側から見ると「隙だらけ」の民主党政権の機密情報。外部からネット経由で侵入出来ると同時に、議員会館の事務所にも直接人が潜り込み、情報が盗まれているというのだから、インテリジェンス的には背筋が寒くなるような話だ。
※SAPIO2012年7月18日号