平日の午前中、人気もまばらな境内が騒然となった。東京九段にある靖国神社で6月4日、境内を訪れた中国人男性が大暴れする事件が起きた。
この男は北京植物園の園長で、千葉で行なわれたバラの国際会議で来日しており、靖国神社には仲間を連れて観光で訪れた。男は境内にある桜の木3本にかけられたプラスチック製のプレートを次々と外し、2枚は竹藪に捨て1枚を足で踏み壊したという。
「隣接する朝鮮総連施設を警備していた機動隊員が現場を目撃し、現行犯逮捕しました。本人に酒に酔った様子はなく、政治的犯行が疑われたのでパトカーが多数押し寄せた」(居合わせた関係者)
男は犯行の理由を「プレートがきつく縛ってあり、桜が可哀想だと思った」と供述している。警察から「本人は非常に反省しており、謝罪文をしたため補償するともいっている」と聞いた靖国神社側は被害届を取り下げ、男は帰国した。
この件で中国大使館が警察に公表しないよう申し入れたという情報もあり、警視庁は今にいたるまで事件を公表していない。
事件の背景には、中国人観光客による靖国参拝が増えているという事情がある。小泉純一郎・元首相の参拝以降、中国・台湾・韓国からの参拝者が飛躍的に増加しているというのだ。
「台湾人が本殿まで参拝するのに対し、韓国人は見学程度、中国人の場合は敵情視察に近い。来た人の多くは、神社に政治色が薄いので拍子抜けして帰るようですが、昨年12月には神門にガソリンを撒き、柱の一部を焼いた中国人活動家がいました。
彼はその後、韓国の日本大使館に火炎瓶を投擲(とうてき)し逮捕されましたが、実は神門が焼かれる直前、神社の境内にも火炎瓶のような物が置かれていた。現在韓国で勾留中ですが、中国と日本の間で、身柄引き渡しをめぐって交渉が続いています」(靖国神社関係者)
※週刊ポスト2012年7月13日号