「また来た!」「逃げて!」──白昼の商店街に激しい衝撃音と悲鳴が響きわたった。民家の壁にぶつかり、フロントガラスが粉々になりながらもなお暴走を続ける1台のワゴン車。居酒屋に突っ込み、一度は動きを止めたものの、バックして再び店に突っ込んだ。黒い轍のあとには、電信柱が折れ、幾人もの人が血を流して倒れていた──。
6月26日、大阪市西成区で発生した暴走車による事故で、男女6人が重軽傷を負った。逮捕された無職の永田邦勝容疑者(32才)は、覚せい剤を使用して運転していたという。
4月12日には京都・祇園の繁華街で、軽乗用車が赤信号の交差点に突っ込み、男女7人が死亡、11人が負傷。暴走した運転手(30才)も死亡した。てんかんの持病があったという。続く4月23日には京都府亀岡市で、無免許の少年(18才)が運転する軽乗用車が集団登校中の小学生の列を襲い、小学生10人がはねられて死傷、26才の妊婦も胎児とともに命を奪われた。そして、今回──。
いま“暴走車”事故が相次いでいる。祇園の事故で60代の妻を亡くした夫は現在の胸中をこう語った。
「亀岡とかバス事故とか西成まで…二度とこんな事故がないようにいうてたのに続いてるでしょう。なんていったらいいのか。うちも、事件からもうすぐ3か月になりますけど、なんにも進んでないです…。(運転手)本人が死んでもうてるから、本当のことわからんて。
事故当時、電柱もよけてるし、てんかんを起こしていた線は薄いとか聞いてますが、わからんままです。遺族としては思いをぶつける先もないまま。もちろん、慰謝料や保険金やらの話などまったく聞いていません」
すでに四十九日を終えたにもかかわらず、事故の原因究明も進まず、被害者への補償の話し合いも一切、進んでいないというのだ。
※女性セブン2012年7月19日号