心地よいエルビス・プレスリーの名曲が流れるなか、棺の中の小野ヤスシさん(享年72)は、グリーンのタキシードに蝶ネクタイ姿で安らかな表情のまま眠っていた。
2010年1月に腎盂腫瘍で右腎臓を全摘出し、その後抗がん剤治療を続け、入退院を繰り返してきた小野さん。容体が急変したのは6月13日だった。
7月2日の通夜、翌3日の葬儀で、加藤茶(69才)は安らかな表情の盟友に思いを馳せ、目を真っ赤にしていた。2010年に芸能生活50周年を迎えていた小野さん。絶頂時もどん底の時も、そのほとんどの時間を共に過ごしたのが加藤だった。
今年3月、大親友の加藤の結婚式の司会を務めたが、この時すでに小野さんは、立っているのも精一杯だった。
「抗がん剤治療で髪の毛が抜け、カツラでしたから、そんな姿で結婚式の司会をするのはずいぶんと勇気が必要だったはず。でも、“これ(再婚)で、きみも幸せになってほしい。ぼくは最後にそのためのお手伝いをするよ”といって、小野さんは自ら加藤さんに司会を申し出たそうです。加藤さんへ何か恩返しをしたいという思いがあったのかもしれませんね」(芸能レポーター・石川敏男氏)
石川氏によれば、式の間、小野さんはひどく体調が悪そうで、いつものような軽妙な語り口、立ち居振る舞いではなかったという。しかし、プロらしく最後まで式を盛り上げようとした姿は、まさに名司会者だった。その時のことを、加藤もこう明かしていた。
「結婚式が終わって控え室に行ったら、ぐったりしていて…。車椅子で移動していた。その時はいちばん強い抗がん剤を打っていたそうで…ぼくも知らなかった。泣き言をいわない。いつもおれは頑張ってるから大丈夫って」
※女性セブン2012年7月19日号