国際情報

日本の50倍だった中国オークション市場 落ち込み酷いと業者

 2010年ごろに頂点を迎えた中国のオークション市場は、当時、日本のマーケット100億円程度に対し、5000億円と圧倒的な存在感を示していた。だが、今年の落ち込みは酷く、オークション会場では落札ゼロというケースもあるという。ジャーナリストの富坂聰氏が解説する。

 * * *
 絶好調と思われた中国経済にもいよいよ陰りが色濃く滲みはじめている。そのことは中国の企業経営者たちの景況感と将来に対する見通しが芳しくないことなどから見ても読み取れるのだが、なかでも贅沢品の消費から以前のような勢いが失われていることが顕著な傾向として見受けられるのだ。

 私は昨年、拙著『中国マネーの正体』(PHPビジネス新書)で、これからの中国経済はかつての日本型“バブル崩壊”の道をたどることはないだろうが、確実に一つの転換期を迎え、ジリジリと減速すると予想した。その一方で、人民元高や人件費の高騰といった中国を取り巻く環境の変化によって対外的にはかえってチャイナ・マネーの存在感を増すだろうと予測した。

 現在、中国資本がヨーロッパやアメリカの大企業を呑み込むといった華々しいニュースに混じって国内の景気後退を伝える報道も目立つのは、こうした予測が現実になり始めた証左でもある。

 だが、何もかもがこの公式に当てはまるのかといえばそうではない。象徴的なのはオークション市場である。

 2010年ごろに頂点を迎えたと考えられる中国のオークション市場は、当時、日本のマーケットが総額で100億円程度だったのに対して中国は5000億円と圧倒的な存在感を示していたのだ。

 この中国のオークション業界をけん引してきたのは保利集団と嘉徳オークションの二大勢力だった。当時、二つのオークション会社はともに、日本での事業展開に非常に力を入れていた。というのも日本には日本人が価値を理解できない中国の書や画がたくさん眠っていて二束三文で手に入ったからだ。

 実際、私のところにも「80年代に手に入れた書があれば買いたい」と何人もの中国人が話を持ちかけてきたものだ。だが現在、かつて声をかけてきた人間に「書はまだ買ってくれるのか?」と聞いても芳しい答えが返ってくることはなくなった。

 その理由をある業界関係者は、「今年の落ち込みが酷い。まだ年間の集計が出るまではわからないが、対前年比で大きく縮小することは間違いない」からだという。事実、オークション会場では落札がゼロというケースもあっというのだ。

 一時は日本がかつて二束三文で買って帰った中国の宝をすべて買い戻すほどの勢いがあった中国のオークション会社だったが、いまやすっかりその元気をなくしてしまったようだ。

関連キーワード

トピックス

不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
永野芽郁、4年前にインスタ投稿していた「田中圭からもらった黄色い花」の写真…関係者が肝を冷やしていた「近すぎる関係」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《インスタで娘の誕生報告》大谷翔平、過熱するメディアの取材攻勢に待ったをかけるセルフプロデュース力 心理士が指摘する「画像優位性効果」と「3Bの法則」
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン