7月4日に行なわれたケンタッキーフライドチキンの「食べ放題」には3万4000人が殺到した。トクしたのは店だったか客だったか。分かれ目になるのが「原価率」である。飲食店のコストには食材費、人件費、水道光熱費、家賃などがあり、そのうち売り上げに占める食材費の割合を一般的に「原価率」という。
たとえばコーヒーやパンの場合――。
喫茶店のコーヒーの原価は、豆代が4~5%。砂糖やミルク、お持ち帰りなら包材を入れても10%程度に収まるのが一般的だ。
「ブレンドコーヒー1杯あたりの原価は豆が20円、その他を合わせて40円程度。400円で出している店はちょうど10%になる。大手チェーンの場合は独自に豆農園を所有していたり、仕入れの力が強いので、豆の原価を10円以下に抑えて200円を切る売価で出すことも可能です。ドリップ式と1杯出しマシンでは、マシンのほうが高い圧力をかけて抽出するため、豆の量が少なく済み原価率が低い」
とフードコンサルタントの飯田真弓氏。同じ値段なら、きちんとドリップで入れる喫茶店で味わいたい。
「朝はパン派」の人も多いと思うが、パンの原価率はどうか。
「一番原価が安いのはフランスパン。1本350グラムとして、生地は1キロ約100円。つまり原価は1本35円で、それを例えば220円で販売している。高く感じるかもしれないが、フランスパンは日本では人気がなくて、廃棄率も高いからしょうがない」
と東京近郊のパン店店主。逆に原価が高いのがアプリコットやナッツ、イチジクなどを使ったパンだ。
「レーズンは1キロ290円なのにアプリコットは1キロ3000円もする。店の雰囲気のために置いているけど、正直いって使いたくない」(前出・パン店店主)
では、スーパーやコンビニで売られている大手メーカーのパンはどうか。
「日本のパンメーカーの多くは、少ない生地をショートニングという食用油脂を使って膨らませている。原価率は手作りの店よりはるかに低く、せいぜい10%程度」(業界関係者)
100円のパンなら生地の原価は10円ということだ。
※週刊ポスト2012年7月20・27日号