衆議院では消費増税法案が、民主党、自民党、公明党の賛成で通過したが、次の攻防の舞台となる参院での同法案の審議は大幅に遅れている。小沢新党が結成されるまで委員長交代や特別委員会の設置などができないため、審議入りは7月中旬以降、採決は早くても8月中旬以降になる。
延長国会の会期末は9月8日。通常国会は再延長できない。参院での審議が大荒れで継続審議になれば、増税は事実上、潰れる。 まだまだ増税は「決まったこと」ではないのである。
確かに、自公が内閣不信任案に同調しない方針に転じれば増税法案は成立する可能性が高まる。が、その瞬間、野田政権は終わる。民主党の前原誠司・政調会長グループの若手議員さえこんな話をするのだ。
「野田総理には法案が成立すればそれを花道に退陣していただく。次の総理は選挙の顔。前原さんでは勝てそうにないから細野豪志・原発相を担いで解散・総選挙に臨む戦略を立てて若手の賛同者を募っている」
誰を「顔」にしても結果に大差はないだろう。なにせこれだけ国民に背を向け、バカにし、搾取を続けたのだ。誰が国民の敵か、何が正論かはすぐにわかる。人の皮を被った妖怪たちには、首筋の寒い夏が待っている。
※週刊ポスト2012年7月20・27日号