人事院によれば、国家公務員(行政職)の平均年収は637万円。対して民間サラリーマンは平均412万円(2010年の国税庁の民間給与実態統計調査)。しかしこの数字には残業代と交通費が含まれておらず、それを含めた国家公務員の「本当の年収」は808万5000円で民間サラリーマンの約2倍である。
公務員のバカ高い年収を支えているのが、本給以外の各種手当である。その中身は「こんなもの必要なのか?」と呆れるお手盛りばかりだ。
政府は今年から高すぎる国家公務員の給料を引き下げたが、役人の給与カットは「2年限定」だ。「管理職特別勤務手当」は、こうした給与カットパフォーマンスの削減幅が大きかった幹部への“補償”と勘ぐりたくなる内容だ。単なる管理職の休日出勤手当だが、支出は年間7億円にのぼる。
キャリア官僚の特権「本府省業務調整手当」(年間102億円)も見過ごせない。霞が関の本府省に勤務する職員のみに支給され、係長クラスで3万7000円、課長補佐になると4万1000円も加算されるというオイシイ手当だ。
異動や転勤にまつわる手当も、民間企業ではありえないものばかり。「地域手当」(年間1600億円)は都市部に勤務する公務員に「物価が地方よりも高いから」との理由で支払われる。最も高いのは東京23区勤務の場合で、なんと本給が18%増しとなる。
本省にいる人間だけが得するわけではない。東京から遠く離れた地域に異動となれば「広域異動手当」(年間116億円)が支給される。本省から300km以上離れた地域なら本給の6%、60km以上なら3%が支給される。
さらに単身赴任となれば手厚い「単身赴任手当」(年間143億円)が懐に入る。基本は本省から100km以上で月額6000円が支給される。最大は1500km以上で4万5000円だ。この手当は地域手当や広域異動手当とは別に受け取ることができる。
そして寒い地域に異動になると貰えるのが「寒冷地手当」(年間71億円)。かつて「石炭代」と呼ばれていたもので、月々7360~2万6380円が支給される。役人たちに、電気代値上げに苦しむ国民たちの悲鳴を理解しろといっても無理な話だ。
シロアリ官僚たちによる税金食いつぶしの最大の温床になっているのが「超過勤務手当」(残業代)だ。前述したように、国家公務員給与が「7.8%削減」されるにもかかわらず、人件費予算は1円も削られていない。その予算をシロアリ官僚たちは残業代で使い切ろうとしているのだ。
内閣府中堅キャリアがこう証言する。
「予算が満額ついた以上、どの役所も人件費は減らさない。各省庁でことなるが、残業を10時間認めれば、月額3万円くらいになるから、それだけで給与カットの半分は取り戻せる」
※週刊ポスト2012年7月20・27日号