この秋に予定されている中国共産党の党大会で、最高位の党総書記に就任すると言われている習近平・国家副主席(59歳)。「中国の歌姫」彭麗媛(ポン・リーユアン)と情熱的な結婚をしたことは中国ではよく知られた事実だ。
だが、過去には別の女性とも深い関係になっていたという証言もある。二人が結婚した地、福建省・廈門(アモイ)を訪れたジャーナリストの相馬勝氏が、厚いベールに覆われた習近平の素顔に迫る。
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筆者は、習近平に近い、とある人物に会った。
「あのころの習近平は、最も活動的だった。ここは彭麗媛との新婚旅行の場所だ。結婚した当日は、ここに泊まり、愛を確かめ合ったんだ」
彼はかすかに「クスッ」と笑ったようにみえた。
この人物は李自明(仮名)。70歳に手が届くほどの初老の男性である。李自身の話によると、彼はアモイで習近平の部下をしていたが、この地が初めてだった習近平は李の行政手腕を見込んで、いつも李を自身の側に置き、仕事を手伝わせたという。
さらに習近平がアモイを離れて、福建省の省都・福州で勤務するようになると、そこにも李を呼び寄せるほど、李に対する習近平の信頼は絶大だった。このため、習近平は時に、李にプライベートなことも相談したという。
たとえば、彭麗媛のことだ。彼女は「歌姫」だけに、中国各地への出張や海外での公演も多く、とても習近平のいるアモイに来る時間がなかった。習近平が春節(旧正月)の休暇で北京に帰れば、彭麗媛と一緒になるが、その時期は彼女が1年中で最も忙しい時期で、テレビに出ずっぱりとなる。こうなると、せっかく北京に帰ってもアモイと同様、別居状態になってしまう。
その寂しさを紛らわすため、習近平が福建省時代に親密な関係になった女性は「2人や3人ではない」と李は明かす。
「一時は離婚も考えたようで、私に相談してきた。私は『彼女(彭麗媛)はあなた(習近平)にとって必ず重要なパートナーになる。ここはじっと我慢して、彼女を立ててやることだ』と諭したのだよ」
李は、彭麗媛が解放軍中枢に近いことや、彼女の名前が全国的に知られており、夫の習近平にとっても政治的に利用できることなどをアドバイスしたという。
そのような関係は習近平が福建省を去って、浙江省や上海、さらに北京に移ってからも続いた。習近平は3、4年に1回はアモイを訪れたほか、李が所用で北京に行くと、一緒に食事をしたという。
※SAPIO2012年7月18日号