6月9日のプロ野球セ・パ交流戦の阪神・オリックス戦。試合は阪神が1対6で敗れたが、勝敗よりも4回の緩慢な守備と悪送球で二塁走者の本塁生還を許した阪神マートン(30)の試合後の発言が物議を醸した。「ニルイ、ドウゾ。アイ・ドント・ライク・ノウミサン」と、その日先発だった能見篤史が嫌いだから怠慢プレーをした、ととられかねない発言をしたのだ。
通訳が慌てて冗談と否定するも、スポーツ紙を賑わせ、一向に成績が上向かない阪神低迷の象徴である“お家騒動”の勃発を印象付けた。
一昨年には、イチローを抜くシーズン最多安打記録である214安打を放ち、試合中にメモを取る姿から“優良外国人”のイメージが強かっただけに、まさかのご乱心に阪神ファンも度肝を抜かれたことだろう。
実際、能見が投げると、マートンは手を抜くのか? 今シーズンの能見登板中の打撃成績を調べてみた(注:たとえば6回で降板した試合は、6回までの打席。数字は7月7日現在)。
ここまで打率.234と不調に陥っているマートンだが、能見が投げているときは40打数11安打、打率.275とむしろ打率が上昇している。
たしかに、2年連続リーグ最多安打を記録しているマートンの実力を考えれば、いずれにしても低打率なのは間違いない。ただ、貧打に泣いている今年のセ・リーグを考えれば、高い打率といえよう。ただし、上記の舌禍事件の起こった6月9日以降の能見登板試合では、12打数3安打で打率.250と下降気味だ。
本当に、「アイ・ドント・ライク・ノウミサン」かどうかは本人のみぞ知るところだが、誰が投手であろうと、打席に立てば「打ちたい」という本能が勝るはず。Bクラスに低迷する阪神の浮上は、マートンの打棒にかかっている。