エリザベス女王の即位60周年やロンドンオリンピックの話題を中心に、イギリスのニュースやユニオンジャック(イギリス国旗)を目にする機会が増えている。特に3月に報道された、マンチェスター訪問中に女王陛下が一般人の結婚式に参加されたニュースは、大きなサプライズとして世界中の人を楽しませた。
日本では1958年に制度上廃止された「宮内庁御用達」があったが、イギリスには現在も「英国王室御用達」が存在する。ウェッジウッドなどの高級食器をはじめ、さまざまな「英国王室御用達」があるが、「宮内庁御用達」と異なるのは菓子や日用品といった庶民的なアイテムにも「王室御用達」があるところ。
私たち庶民でも気軽に楽しめるもののひとつで、1837年ヴィクトリア女王に「英国王室御用達のソーダメーカー」の認定を受けた『シュウェップス』。ヨーロッパを中心にさまざまなフレーバーを展開しており、世界で親しまれているブランドだ。日本ではカクテルなどで使われるトニック・ウォーターなどの販売に留まっていたが、大人に向けた「ブリティッシュ レモントニック」が今年6月に発売された。
そこで『シュウェップス』ブランドを販売している日本コカ・コーラに、『シュウェップス』の歴史などについて聞くため取材を申し込んだ。“将来はCMキャラクターのピアース・ブロスナンばりに、大人の渋さと甘い笑顔を見せてくれるのでは!?”という期待感を抱かせるイケメン、マーケティング本部フレーバー炭酸グループ マネジャーの富重豪さんが、同ブランドや大人向け炭酸飲料のトレンドについて語った。
「『シュウェップス』は炭酸飲料として最古のブランドと言われていて、229年という歴史は『コカ・コーラ』よりも長いので、社内で扱っている炭酸飲料の中で1番古くからあるブランドになります。研究者のヤコブ・シュウェップがスイスで、ジュネーブ・システムというソーダ水を作る機械を設計したのが始まりです。
その後、イギリスでビジネスを展開し、1837年にヴィクトリア女王から『御用達』認定を受け、今も『シュウェップス』は『英国王室御用達』のブランドです。銀座ソニービルにつくった展示ブース『シュウェップス ミュージアム』で使ったものですが、これが御用達を受けた際の認定証のレプリカなんですよ」と、額に入ったものを見せてくれた。同じ味わいは楽しめても一般人にはなかなか見る機会がないもの。レプリカとはいえ、175年前の認定証にブランドの歴史を感じる。
多くのフレーバーがある『シュウェップス』の中で、今回は「ビターレモン」フレーバーが選ばれ、さらに日本向けにアレンジされているという。
「ビターレモンがイギリス本国でも人気の高いフレーバーというのもありますが、より日本人に合うテイストにするために、酸味や苦味・炭酸の強さなど、テストを重ねてセレクトした味になっています。
トニック・ウォーターをご存知のお客様からは、『シュウェップス』ということで苦みに対する味わいの期待感が高かったようですね」(富重さん)
炭酸飲料というと甘みの強い“子供向けのジュース”といったイメージもある中、今回は「オトナ、はじける」がキャッチコピーの大人に向けた商品。最近はドライで大人が楽しめるフレーバーの炭酸飲料が増えてきており、“苦味への期待感”というのもうなずける。
「炭酸飲料市場は、過去5年間成長し続けており、10代を中心に『コカ・コーラ』や『ファンタ』ブランド、20代から30代といったヤング・アダルト世代には、0カロリーの『コカ・コーラ ゼロ』の他、リバイバルした『スプライト』も人気です。
最近各社から新製品が登場している通り『ジンジャーエール』フレーバーはその固有の味わいが好評ですが、当社の『カナダドライ ジンジャーエール』は、ヤング・アダルトを含む大人世代が楽しむ炭酸飲料として、長年親しまれ続けています。そうしたトレンドもありつつ、明確に“40代以上”の方を中心に炭酸飲料をリフレッシュメントだけでなく、リラックスのために飲むアイテムとして『シュウェップス ブリティッシュ レモントニック』を位置付けました。
10代に比べ、40代になると1回に飲み切る飲容量が20%程度減るといわれ、その分“味わい”への志向が高まるのですが、一般的なペットボトル飲料が500mlに対して、『シュウェップス ブリティッシュ レモントニック』が410mlというのは、そうした面も考慮したサイズなんです」(富重さん)
“大人のリラックス”に合う炭酸飲料という点では、スッキリした中に、ほどよい苦味と酸味がぴったりくる。その他にどんなシーンや、食べ物に合うのだろうか?
「個人的にはお風呂上がりに飲むのが、気に入っています。グラスを冷凍庫で凍らせて、氷をたっぷり入れた状態に注いで“クァーッ!”と飲むのが最高ですね」と言いながら、その時の味わいが思い出されるのか、リラックスしたいい笑顔になる富重さん。確かにそれは、めちゃくちゃ美味しそうだ。
「食べ物には、甘すぎないので何にでも合うのですが、基本的にレモンの添えてある食べ物――油っぽい物や揚げ物を食べる合間に飲むと、口の中がスッキリするので、ずっと飽きずに美味しく食べられます」(富重さん)
なるほど、揚げ物にこの味は合いそう。またコース料理の途中で口直しに柑橘系のソルベなどが出るように、濃いめの味を楽しみつつ、舌をリフレッシュする味わいでもある。
『シュウェップス』といえば、ヨーロッパではたくさんのフレーバーがあることも魅力の炭酸飲料ブランド。海外で楽しんでいた人にとっては、これからのフレーバー展開にも期待が高まるだろう。
「今のところ予定は決まっていないのですが、そうした期待感を持ってもらえるのは嬉しいです。まずはみなさんに『シュウェップス ブリティッシュ レモントニック』でこのブランドの良さを知っていただき、より多くの大人向けなフレーバーを楽しんでもらえるようになるといいですね」(富重さん)