毎日先輩に怒られてばかりいた無名の芸人が、憧れの有名芸人たちにかわいがられ、“友達5000人芸人”と呼ばれるまでになった。一体何を考え、何を実行してきたのかを綴った書が、カラテカ・入江慎也(35才)の『後輩力 凡人の僕が、友だち5000人になれた秘けつ』(アスコム)だ。
そんな入江のインタビュー場所は、東京都内にある所属事務所内の一室。スーツ姿で現れた彼がまずしたことは、その場にいたあべこうじ(37才)をはじめ、先輩芸人やスタッフ、後輩への挨拶まわりだった。
さすが友達5000人芸人、顔が広い。その後、私たちとの名刺交換に。「あ、どーもどーも」と、ギョーカイ人風に差し出された名刺には“日本後輩協会 名誉後輩”という見慣れない肩書が添えられている。しかもそこには、ケータイの番号とメアドが。テレビに出る有名芸人なのにそのオープンさにまずびっくり。
芸風のようにチャラい? のかと思いきや、表情はいたってまじめ。“なんでも聞いてこい!”という自信が、強いまなざしからも伝わってくる。
カラテカ・入江慎也。芸歴15年という中堅芸人がブレイクしたのは、ひとえに人脈のおかげだとか。
「同期の連中に比べても、ぼくは本当に先輩がたに怒られてばかり。でもそんな未熟なぼくが“後輩力”に気がついて、それを磨くことによって状況が一気に変わったんです。トークもギャグも月並みなぼくにとって、これこそが最大の強みで武器だなって思って」(入江)
たしかに売れっ子の先輩芸人にかわいがられれば、番組でいじってもらえる。また直接貴重なアドバイスを受けられる。芸人にとって、これほどプラスになることはないだろう。芸人でなくても、誰かのよき後輩であることは、とても大事なこと。大切な人生のヒントだ。
「いちばん親しくさせていただいている先輩は、今田耕司さん(46才)と構成作家の鈴木おさむさん(40才)です。いまだにめちゃくちゃ怒らせちゃうこともあるんですけど…、ぼくのことを心配して怒ってくださるので、本当にありがたいです」(入江)
すごいのは、彼の“後輩力”の守備範囲が芸人も一般人も番組関係者もアスリートもありの“全方位”なところだ。
「いまあるふたつのレギュラー番組も、バーでたまたま飲んだ相手がプロデューサーだったり、山手線内で名刺を交換したかたと連絡を取り続けていたらそのかたが番組を制作することになって……というご縁だったりします(苦笑)」(入江)
※女性セブン2012年7月26日号