滋賀県大津市で昨年10月、いじめが原因で自殺した当時中学2年生だったAくん(享年13)。Aくんは、いじめに遭っていることを一切口に出さず、家族の前ではむしろ元気に振る舞っていた。卓球部の試合があると、「今日頑張ったんやで」と得意げに家族に話していたという。
昨年の夏休みが終わったころから、突然、Aくんは仲良しグループの生徒たちからいじめられるようになり、やがて金銭も要求されるようになっていったという。初めは、自分の口座からお金を引き出し、いじめた生徒たちに渡していた。次第にAくんの口座も底がつき、今度は、祖父母の家からお金を盗んで渡していたという。
しかし、思い返せば、いじめの被害に遭っていた痕跡はお金以外にもあったという。
「“蜂を食べさせられていた”とアンケートにあったそうですが、実際にはカエルまで食べさせられていたみたいです。あるとき、親戚の家に遊びに行ったとき、もうすごい下痢をしたみたいで…。きっと変なものを食べさせられたから、お腹を壊したんでしょうね…」(Aくん一家の知人)
さらに、この知人が言葉を詰まらせながら続ける。
「メガネのフレームが壊れていたときがあったそうです。“メガネ、どうしたん?”って聞いても、“ちょっとコケただけや”って答えるだけだったらしくて…。周りに心配かけまいとしたんでしょうね。本当に優しい子でした」
家族や友達にも相談できぬまま、徐々に生きる希望を失い、“死”を真剣に覚悟するようになっていったAくん。祖母に一度だけ、理由もいわずに本音をさらけ出したことがあったという。
「鼻水を垂らしながら、おばあちゃんにしがみついて、“おばあちゃん、ボクなぁ、死にたいねん…”って泣きついたそうです」(前出・知人)
その数日後、Aくんは自ら命を絶った。
「遺体は傷もなくて、きれいだったと聞いてます…。本当に安らかな顔をしていて、ようやく苦しみから抜け出して、ほっとしたような表情だったそうです。お父さんは冷静さは保っていますが、やっぱりショックでショックで仕方ないんです。“あのとき、こうしておけば…気づいてあげていれば…”なんてことを何度も何度もこぼしてましたよ」(前出・知人)
※女性セブン2012年7月26日号