ロンドンでの金が確実といわれる選手は、女子レスリング55kg級の吉田沙保里や、男子体操の内村航平らが挙げられるが、日本勢最初の金メダルは、あまり知られていない選手になりそうだ。開会式翌日(7月28日)に行なわれる「射撃男子10mエアピストル」の松田知幸(36、神奈川県警)である。10年の世界選手権で10mと50mの2種目を制し、ロンドン五輪日本代表の第一号に決定。現在、日本の射撃界では無敵といわれる。
松田は父親も神奈川県警という警官一家だ。高校卒業後に警察学校に入って受けた射撃テストの成績が良かったため、指導者育成用の特別訓練生に選ばれた。それからは生活のすべてを射撃に捧げてきたという。
「射撃は集中力と緻密さのスポーツで、心臓の動きが速くなるだけでも着弾がぶれる。そのため、心肺機能を高めるために走って射撃場まで通うほか、通勤電車の中ではつり革に掴まらず、バランス感覚を養ってきた」(スポーツ紙記者)
射撃中心の生活は趣味にも影響し、狙った球を弾くビリヤードとルアーを狙い通りに投げこむ釣りを始めた。普段の生活から“狙い”をつけ続けている。
※週刊ポスト2012年7月20・27日号