最近、映画やドラマで注目を集める公安警察。いまだ秘密のベールに包まれているが、公安警察官は、どのように誕生するのか。元警視庁公安部出身で、警視まで務めた泉修三氏によると、能力とともに、思想的背景も問われるという。
「公安部への配属は、基本的には選抜。警察学校の卒業試験や、昇任試験で優秀な成績をおさめた者が配属される。
しかし、例えば共産主義に共感、あるいは同調している者だったら、捜査に支障が出ることもある。当然、公安部に配属する前には、身上調査を行なう。だから、警察官を親に持つ者が配属されるケースは多いのではないか。加えて、外事警察官には語学力が必要とされる」
警察組織において、犯罪を取り締まり、犯人を捕まえる「刑事警察」と、国民全体の安全を守る「公安警察」は二枚看板だ。しかし、秘密のベールに包まれた部分が多く、それだけに、捜査手法の在り方や秘密主義に批判が向けられることもある。『公安は誰をマークしているか』(新潮新書)の著書がある産経新聞大阪社会部次長の大島真生氏には指摘する。
「強い捜査能力を有し、きわどい手を使うからこそ、公安の“暴走”はあってはならない。そのためには、国民が、公安警察がどんな活動をしているかを知り、チェックしていくことが重要です」
さらに言えば、国益を損ねない範囲で、例えば何十年か経ったら捜査手法などについて一部公開するということも、“暴走”を防ぐ抑止力となるかもしれない。
人知れず、われわれの生活を守るために今日も奔走しているであろう公安警察。もしかしたら、あなたの隣に今、座ったその人も……。
※SAPIO2012年7月18日号