読売巨人軍の原辰徳監督が元暴力団と指摘された男性2人から過去の女性問題を理由に1億円を要求され、支払っていた衝撃の事件。スター監督の女性問題、1億円という巨額……いまだ「謎」が多いとされるこの事件を「球界の野良犬」野球評論家の愛甲猛さん(ロッテ→中日)が「解説」する。(聞き手=ノンフィクションライター・神田憲行)
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--今回のニュースは巨人ファン、野球ファン関係なくみんな目を剥いたわけなんですが、愛甲さんはまずどう感じましたか。
愛甲:ああ、原さんも普通のプロ野球選手だったんだな、と(笑)。正直、遊びが下手くそなんかな。けっこう野球界でも変なのに引っかかって、金取られたり揺すられたりするのは昔からあるから。週刊誌に「私を抱いた○○(選手の名前)」みたいな暴露記事が載るのはだいぶマシなほう。でもこの事件は不可解なことが多すぎる。
--発端となったのは1988年、巨人軍が当時関西遠征で定宿にしていた旅館アルバイトの女性と原氏が不倫関係を持ったことでした。そして06年8月、元暴力団員と指摘される男性2人が原監督の元を訪れ、女性が書いた日記を処分する代わりに、1億円を要求。数日後に原監督が1億円を渡しています。
愛甲:不倫してから16年もたってからユスリに来てるのがまず不自然ですよ。その間まるきり音沙汰なく突然なのか、いつ日記を彼らが手にしたのか。すぐ入手していたら10何年間もネタを温めておきますか?
またユスリに来て、当の女性はいないのに日記だけで1億円支払うというのもわからない。普通、口封じは1千万円とか2千万円ぐらいですよ。巨人ブラント、原ブランド考えても、天秤の片方に1億円乗せて、もう片方に「不倫」というだけでは釣り合いがとれない。
巨人は脅してきた人物が「反社会的勢力に属する人物とは知らなかった」と主張していますが、恐喝してきたのは有名な人ですよ。喋り方、風体、要求してきた金額、どれみても「暴力団とは思いませんでした」というのが通るかなあ。
--脅された段階で警察に相談することは考えないものなんですか。
愛甲:それも不思議。1千万円程度なら表沙汰にしたくないから払うかもしれないけれど、1億円なら相談すると思う。想像として日記の内容がそれほどまでも表にしたくないか、警察から「恐喝にならない。仕方ない」といわれるようなケースかもしれない。
--1億円を個人的な支援者、いわゆる「タニマチ」から借りたということですが、それも凄い話です。
愛甲:タニマチの不動産屋さんが都合付けたと聞いています。いくら原ブランドがあるとはいえ、凄いもんです。あの人らには10万円くらいの感覚なのかしれませんが。
--プロ野球選手にアタックする女性は多いのですか。
愛甲:来ますねえ。でもジャイアンツは外で接触できる機会が極端に少なくて、ホテルのセキュリティも凄いんですよ。いちばんびっくりしたのは、俺が現役時代にたまたま巨人と同じホテルになったので、落合(博満)さんに挨拶しようと思ってフロントで部屋番号きいて電話したら、部屋同士の通話でいきなり交換が「どういうご用件でしょう」って出るんですよ。
「いや俺の師匠だから」って説明したんだけれど、部屋同士の通話で交換が出るなんて初めてだよ。俺らのロッテなんてイタ電からなにからばんばんかかってきてなんのセキュリティもないもん(笑)。