橋下徹・大阪市長が就任早々、市営バス運転手の給与(平均739万円)を4割カットすると宣言して大騒動に発展したのは記憶に新しい。世間が驚いたのは、4割カットしてもまだ民間のバス運転手の給与(近鉄・447万円、南海・441万円)よりも高水準だったことだ。
そこで、総務省や厚生労働省が公表している業種ごとの平均年収を元に、同じ職種の官民格差を調査した。すると技能労務職(現業)を中心に労働対価の差が浮き彫りとなった。
公務員の平均給与を民間が上回ったのは高校教師のみ。「大学受験で結果を残したい私立はいい教師にはカネを惜しまない」(都内私立高数学教師)という事情からだが、他の業種はすべて公務員のほうが給与が高かった。
2倍以上の給与格差がある職種も少なくない。守衛、用務員、幼稚園教諭などでは差が大きい。都内の民間警備会社から大型商業施設に配備されているガードマンがグチをこぼす。
「我々民間の守衛は、緊急の呼び出しがあったり、夜勤があったりと不規則な勤務を迫られる。公務員の守衛の場合、そんな緊急対応をすることはまったくないはずです。にもかからわず、倍以上の給料をもらっている。こちらは日給制でボーナスももらえず、生活は安定しない。競合他社との競争でダンピングされることも多く、リストラも多い。なぜあいつらばかり、と正直、怒りを覚えます」
※週刊ポスト2012年7月20・27日号