目がかすむ、まぶしく感じるのは水晶体の老化が原因。加齢性の白内障は誰でもなりえるという。
井上眼科病院の院長・井上賢治さんはこう話す。
「白内障には、生まれつきのものや外傷によるもの、病気から起こるものなどがありますが、もっとも多いのは老人性白内障で、老眼と同様、目の老化によって起こります。水晶体の中のたんぱく質が加齢とともに硬くなって、白く濁っていくのが白内障の正体。誰でも50代ころから、目がかすむ、光がまぶしいなどの症状を感じ始め、80才にもなれば、100%の人がかかっています。しかし、白内障は適切な治療をすれば、失明することはありません」
年齢を重ね、水晶体の濁りが増すにつれ、視力は少しずつ弱くなるが、その進行具合や見えにくさはまちまちで、不自由さには個人差があるという。日常生活に支障をきたすようであれば、手術によって視力を取り戻すことも可能だ。
「白内障の手術は、眼科でもっとも多い手術で、当院では年間7000眼以上の手術を行っています。手術をするのは60代前半くらいが中心で、かかる時間は30分程度。濁った水晶体を取り除き、代わりに人工レンズを入れるのが一般的な手術法です。手術に不安を感じる人も多いかもしれませんが、特に痛みはありません。
最近では、白内障の手術の際に遠近両用の人工レンズを挿入して、老眼も一緒に治せるなど、技術も進化しています。白内障の症状は、老眼が進行した後、50~60代ころに出てきます。40代前半から目がかすみ始めたときは、白内障以外の病気の可能性もあるので、早めに診察を受けるようにしてください」(井上さん)
白内障の手術に関していろいろ疑問が湧くが、まず、一緒に老眼も治せるというのは本当だろうか?
「最近は遠近両用の“マルチフォーカル”という、近くにもピントが合う人工レンズも登場。ただし保険が利かず、費用は片眼約40万~60万円と高価です」(井上さん)
実際にかかる時間や費用はというと、
「時間は約30分で1泊入院、または家が近い人は日帰りも可能です。費用は保険の負担率によって変わりますが、だいたい5万~8万円程度が相場です」(井上さん)
手術をするとなぜ見えるようになるのだろうか。
「濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入することで、視界がクリアになります。人工レンズは劣化しないので、半永久的に使えます」(井上さん)
※女性セブン2012年7月26日号