7月14日に公開された映画『ヘルタースケルター』。原作は、1990年代半ばに女性コミック誌で連載された異才の漫画家・岡崎京子さん(48才)の同名作品だ。
『ヘルタースケルター』には、そんな“女の世界”を象徴するようなシーンがある。
りりこ(沢尻エリカ)のマネジャー・羽田美知子(寺島しのぶ)には年下の恋人(綾野剛)がいた。ある日、自宅でいちゃつく2人のもとを突然、りりこが訪れてきてこういうのだ。
「お楽しみ中だった?」
年下の恋人の肩に手をかけ、
「いーじゃんいーじゃん、羽田ちゃんの彼氏」「ねぇ、キスしていい?」
戸惑い、言葉を失う羽田。
「いいでしょ? 羽田ちゃん」
キスしながら彼の股間にりりこの手が伸びる。
「見てよ。あたし、これからあんたの彼とすっごいいやらしいことすんのよ」
羽田はなすすべもなく、呆然とふたりのセックスを見続ける…。
そこには絶対的な力関係がある。タレントとマネジャーとしてではなく、りりこの美しさに絶対服従した“見た目のヒエラルキー”だ。監督である蜷川実花さんはこう説明する。
「普通、目の前で浮気されたら恋人に対して怒り狂いますよね。でも見た目に圧倒的な差があると、怒っているのに“仕方がない”と思ってしまうことが女にはある。“見た目の力関係”って女性間のほうがあるような気がします。男性のほうが意外と見かけ重視じゃないというか、恋愛や結婚をするときに見かけで選ばない。
でも女性はなにかあると美醜を理由にカタをつけようとするというか、何かあっても“あの人、かわいいからね”ですませてしまったりする。美しい女性に対して圧倒的な劣等感を感じるじゃないですか、私たちは。それは女性が自分で自分の首を締めているようなことかもしれません」
※女性セブン2012年7月26日号