世間を震撼させた秋葉原17人殺傷事件。同事件の被告・加藤智大は拘置所で獄中手記を綴っていた。週刊ポスト取材班は加藤被告本人が事件の全貌とそこに至るまでの胸中を綴った手記『解』(批評社)を出版予定という情報を得て、関係者への取材を開始。そして7月中旬に発刊予定という手記を独占入手した。
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ネット上のトラブルがなぜ現実世界の無差別殺傷事件に繋がるのか。その点を、加藤被告はこう述べている。
〈ひとつ言えるのは掲示板でのトラブルだったから、ということです。成りすましらはどこの誰なのか、全くわかりません。(中略)成りすましらはどこの誰なのかわからないために、殴るといった直接の物理攻撃も、にらむといった直接の心理攻撃も、不可能で、何かを通して、間接的に攻撃をするしかなかった、ということです。
(中略)そこで、何故私が大事件を起こしたのかに心当たりのある成りすましらは、「ヤバい」「大変なことになった」「俺のところにも警察が来るかも」「マスコミにバレたらどうしよう」「何か責任をとらされるのか」等と、焦り・罪悪感・不安・恐怖といった心理的な痛みを感じることになるはずでした〉
大事件の舞台として選ばれたのは秋葉原だった。
〈無差別殺傷事件だったのは、近年大きく報道されていた事件として記憶していたのが無差別殺傷事件だったからだと思われます。その事件の凶器がナイフだったから、私もナイフを思い浮かべたのだと思います。(中略)日曜日なのは秋葉原の歩行者天国が思い浮かんだからで、秋葉原なのは、大事件は大都市、大都市は東京、東京でよく知っているのは秋葉原、という連想だったと思います〉
※週刊ポスト2012年7月20・27日号