中国では5年に一度開かれる秋の第18回中国共産党大会を前にして、7月3日の北京市の党大会を最後に、31省市自治区の地方党大会がすべて終了した。これらの31省市自治区で党幹部に当たる党常務委員は全部で404人。中国共産党員8000万人のエリート中のエリートといえ、事実上彼らによって地方自治が牛耳られるほか、10年後の党最高指導者や党最高指導部が輩出される。
中国の地方省市などでは村単位まで党委員会が必ず存在し、その党委の常務委員が村長などの行政や党の役職を兼任する。これは中央でも同じで、党中央委員が中央の行政組織のトップの座に就いたり、地方のトップを兼任する。いわば、地方省市自治区の常務委員が最高幹部への登竜門となる。
注目されるのは党の若手エリート幹部候補生を擁する青年組織である中国共産主義青年団(共青団)出身の常務委員が168人と全体の約42%を占めていることだ。
共青団といえば、胡錦濤国家主席の出身母体で、胡主席も共青団トップの第一書記を務めている。次期最高指導者と目される習近平・副主席は高級幹部子弟(太子党)勢力を率い、現在の党政治局常務委員会で最も大きな勢力を持っている上海閥は江沢民・前主席が中心だ。秋の党大会を睨んで、太子党・上海閥連合軍が共青団閥と熾烈な権力闘争を展開していると伝えられるが、地方では共青団が圧倒的に優勢だ。
しかも、共青団出身の地方省市自治区のトップは広東省の汪洋氏や習氏の次の最高指導者候補といわれる内モンゴル自治区の胡春華氏ら31人中12人で全体の40%。さらに、北京市トップの郭金龍・党委書記は胡主席の腹心といわれており、郭氏を入れると、共青団は地方トップを13人も占めていることになる。
国際的なチャイナウォッチャーとして知られるウィリー・ラム国際教養大教授は「太子党閥の習近平が最高指導者になっても、次期政権では共青団が主導権を握り、さらに習近平が引退する2022年の第20回党大会では共青団閥が圧倒的に優位な地位を占め、権力を独り占めするのは間違いない」と指摘している。
一方、女性幹部の比率だが、男性のほぼ10分の1である37人と極めて少ない。地方トップは福建省の孫春蘭氏ただ1人で、省長も安徽省の李斌氏とわずか1人。毛沢東はかつて「天の半分は女性が支える」という有名な言葉を語ったが、現実はまったくちがっているようだ。