7月11日から断続的に降り続いた九州北部豪雨。熊本、福岡、大分の3県で、死者29人、行方不明者3人を出す大惨事となった(7月17日現在)。
気象庁が豪雨に名前を付けるのは、昨年7月の『新潟・福島豪雨』以来だが、このときの死者は4人。これだけでも、九州北部豪雨の被害の大きさがうかがい知れる。
さらに、雨の量もけた外れだ。熊本県阿蘇市阿蘇乙姫地域では、11日から4日間の総雨量が816.5ミリと、1か月分の量を大きく上回った。
この豪雨は、女優・黒木瞳(51才)の実家がある福岡県八女市黒木町も直撃していた。雨量が最も多くなったのは、14日朝のことだった。観測史上最多となる、1時間あたり91.5ミリもの雨量を記録、八女市全体に避難指示が出た。
黒木の実家のすぐ近くを流れる矢部川も氾濫。上流から流れてきた丸太やガレキが道路を寸断し、マンホールからは泥水があふれ出した。土砂崩れもあちこちで起こり、田んぼを心配して、様子を見に外に出た農家の男性(70才)が、土砂崩れで死亡する痛ましい事故も起きてしまった。
豪雨の影響で、川の氾濫も激しくなり、ついには、黒木の思い出の場所であるという南仙橋も崩れ落ち、流された。矢部川のすぐ近くに住み、その一部始終を見ていたという70代の料亭経営者(男性)が話す。
「夜中から激しい雨が降って、川の水位も上がっていたんで、ずっと窓から川を見ていたんです。そしたら、朝になって、橋がちぃと傾き始めたなと思って見てたら…。6時半ごろに、ガバーっと一気にひっくり返って流されて行きました。それを見たら、体の底からぞーっとして、全身の力が抜けて…」
そのうち、川の土手まで水位が上がってくると、我に返ったという。
「こうしてはおれん!」
そう思って、すぐ車に乗り、命からがら高台へ避難し、なんとか被害を逃れたという。この橋から黒木の実家までは、100mほどの距離しかない。まさに黒木の実家も危機一髪だった。実家近くに住む姉に話を聞くと、「(黒木から)心配して連絡がありました」 と弱々しい声で、ひと言だけ答えてくれた。
※女性セブン2012年8月2日号