文部科学省の統計をみると、全国の小中高でのいじめの認知件数は、ピークの2006年度12万4898件から2009年度は7万2778件にまで下がり続けたものの、2010年度は7万7630件へと再び増加に転じている。だが、大津の中2いじめ自殺事件の例でもわかるように、学校の隠蔽体質を考えると、この数字は氷山の一角にすぎないはずだ。
1998年に高校1年生だった一人娘、香澄さん(当時15才)をいじめによる自殺で失って以来、いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事として活動する小森美登里さんは、最近、いじめの質が陰湿化していると語る。
「ここ5~6年の傾向ですが、携帯電話やネットを使ったいじめが陰湿になりました。私たちへの相談で増えているのは、『服を無理やり脱がされて裸の写真をケータイで撮られた』という話。下着姿や裸の写真を携帯電話のカメラで撮られ、『いうことを聞かないとクラスメート全員に送る』などと、脅していうことを聞かせる。表面的には仲良しにとりつくろっていても、実はいじめがエスカレートしている場合があります」
一緒のグループで仲良く遊んでいるようでも、実はいじめられる側が我慢しているケースが多いという。であれば、子供のわずかな異変から、親が“SOS”を見つけることが大切だ。“SOS”のサインはどんなところに表れるのか。教育評論家の尾木直樹さんはこう話す。
「肌身離さず携帯電話を持っていた子が、急に携帯電話を放っておくようになったら、いじめメールが来ていると疑ったほうがよいでしょう。また、寝汗をかいたり、熱を出して学校を休みたいといい出すように身体的に表れるとともに、小遣いの減りが早くなる、学用品を頻繁になくす、洋服に他人の靴跡のような不自然な汚れがある場合は要注意です」
※女性セブン2012年8月2日号