“日本の10番”香川真司(23)のイングランド名門、マンチェスター・ユナイテッドへの移籍金は約15億円――。
高い評価額に喜ぶのは移籍金を受け取るドルトムント(ドイツ)関係者だけではない。
実は、香川が12歳から16歳まで所属していたサッカークラブ「FCみやぎバルセロナ」(仙台市)も2000万円というボーナスを受けとれるのだ。
石垣博監督が笑みをこぼす。
「まさかこんな大金をもらえるとは! 本当にありがたいですよ」
これは国際サッカー連盟(FIFA)が定める「連帯貢献金」のこと。
優秀な選手が国際移籍をした場合に移籍金の5%を12歳から23歳まで所属したクラブに分配する制度だ。12~15歳まで所属したクラブには1年あたり移籍金の0.25%を、16~23歳までのクラブには0.5%が分配。15億円の5%である7500万円のうち、2000万円がみやぎバルセロナに配分される。
「お金はこちらから申請しなければもらえないと聞き、サッカー協会やFIFAに慌てて連絡しましたが、たらい回しにされた。結局、(日本での最終所属先である)セレッソ大阪が申請手続きをしてくれることになりました。お金が入るのは来年以降になるようです」
気になるお金の遣い道だが、石垣監督はクラブ施設建設費に充てるという。
「うちの主な練習場は真司がいたころからフットサル場。155人所属するチームには狭すぎる。専用グラウンドを造ろうと思っています。名前はやっぱり、『シンジグラウンド』ですかね」
「普通の子」が2000万円をもたらしてくれたのだから、世の中何が起こるかわからない。
再び石垣監督。
「正直、仙台は地価が高く2000万円ではグラウンドなんて買えない。(マンチェスターUとの)契約は4年ですから、そこからまたビッグクラブへの移籍となれば、同じように連帯貢献金が発生する。実は今から期待しています(笑い)」
グラウンドに2つめの“ぼた餅”は落ちてくるか。
※週刊ポスト2012年8月3日号