「私が会った北朝鮮の人たちは米国よりも中国を嫌っているようだった」
こう語るのは元駐平壌英国大使のジョン・エバラード氏だ。先月下旬、米ワシントンのブルッキングス研究所で講演し、北朝鮮の中国嫌いを端的に指摘した。
エバラード氏は2006年2月から2008年7月まで大使として北朝鮮に駐在し、このほどその体験をまとめた『Only Beautiful, Please』を出版したのを記念して講演した。
北朝鮮が中国から膨大な経済支援を受けていながら、中国が嫌い理由についてエバラード氏は「中国人は傲慢で横柄、生意気だと思っている。実は北朝鮮は中国から“独立”したいと思っているのだ」と分析した。
同氏は、平壌在住のマッサージ師の話を引き合いに出して、「ロシア人やドイツ人にはマッサージを施したが、中国人だけは相手にしなかった。奴らは体臭がきついんだ」とのエピソードも紹介した。
北朝鮮が「米帝国主義」などとして激しく批判する米国については「一般の国民はそれほど敵対的ではなく、米国が北朝鮮を攻撃すると考える住民は多くはない」と語った。さらに、韓国が北朝鮮に攻撃をするかどうかについて、「北朝鮮国民は韓国を米国の傀儡政権みなしていることから、韓国が単独で北朝鮮を攻撃するとも思っていないようだ」と解説した。
「ただ、北朝鮮は絶対に核を放棄しない。核が外部の敵から自国を守る唯一の武器だと考えているからだ」と同氏は強調し、米国や中国が北朝鮮に核の放棄を求めても、絶対に応じないとの見方を示した。
一方、国際社会の北朝鮮への食糧支援などについて、「支援物資などは権力集団の体制維持に活用されているようだ」と述べて、食糧不足に苦しむ一般住民の手には渡らず、北朝鮮の指導部や軍の段階で止まっているとの見方を明らかにしている。