「脇汗はあまり恥ずかしい思いがなかったんですが、これから気をつけま~す、すみません」。これは、昨年5月27日にオンエアされたNHKの人気情報番組『あさイチ』で自らの脇汗を陳謝した有働由美子アナウンサー(43才)の発言。有働アナのみならず、猛暑が予想される夏に向け、気になるのが脇の汗とにおい…。
『腋臭症』や『多汗症』の多くの治療を手がけている東京厚生年金病院・形成外科部長の内田崇之さんはこう語る。
「いわゆる“わきが”は、医学的には『腋臭症』と呼ばれ、保険が適用される治療対象になります。脇の毛がある部分に強いにおいを生じるもので、通常の汗くささとは違い、スパイスのような刺激的なにおいが特徴です。また、『多汗症』は、手のひらや足、脇などに大量の汗が出て日常生活に支障をきたす疾患。『腋臭症』の人は、たいてい『多汗症』も併発していることが多いです」
脇の汗とにおいには、脇に集中するアポクリン腺が原因だという。
「皮膚には“エクリン腺”と“アポクリン腺”という2種類の汗腺があります。エクリン腺は全身にあり、体温調節のために汗を出す腺。一方、アポクリン腺は、脇に多く、主に緊張したときやストレスなどで汗が出ます。
このアポクリン腺が『腋臭症』の原因です。汗自体はほぼ無臭ですが、アポクリン腺から出た汗が皮膚の老廃物や細菌と混ざると強いにおいが発生します。『腋臭症』の人はアポクリン腺が増殖・肥厚していることが多いんです」(内田さん)
治療や手術は、形成外科や美容外科で行うのが一般的。前述の有働アナのように本人に自覚がないことも多く、家族や友人に指摘されて来院するケースが多いという。
「診断の決め手は、医師や看護師の嗅覚と問診です。遺伝的な要素もあるため、両親や親族に『腋臭症』の人がいるか、耳垢が湿っているかなどを問診で伺います。ちなみに、耳垢が湿るのは、外耳にアポクリン腺が多いからと考えられます。耳に多い人は脇にもアポクリン腺が多いといわれています。また、これまでまったく気にならなかったのに突然においが気になり始めた場合は、『におい恐怖症』の疑いも。その場合は、精神科や心療内科を受診しましょう」(内田さん)
※女性セブン2012年8月2日号