「非・民自公連立」をめぐる動きが激しさを増している。その中でキーパーソンと目されているのが、「減税日本」を率いる河村たかし・名古屋市長である。
橋下徹・大阪市長、石原慎太郎・東京都知事らが次々と国政を見据えた発言を繰り返すなか、沈黙を守ってきた河村氏が、国政進出構想を初めて明かした。
――国政進出する場合、あなたも出馬するのか。
「わしは市長をちゃんとやっとるし、毎日真面目に暮らしとるで(笑い)。名古屋への郷土愛もある。今の段階ではそうとしかいえない。ただ、国を変えないと、このままでは名古屋の改革も国につぶされてしまう、という危機感はある。
減税日本はまだ公職選挙法での政党要件(国会議員5人以上)は満たしてない。そこで議員を集めている。無所属議員の受け皿になれれば一番いいと思っとる」
――東海地区だけでなく、全国で候補を立てるのか?
「そりゃもちろん、全国で立てる。志のある人をね。でも唯我独尊でやるつもりはない。これまでご縁がある橋下さん、石原さんと、一緒にできんかと話をしている。渡辺(喜美・みんなの党代表)さんともお会いした。東京・名古屋・大阪の大都市連合に加えて、他の地域からもやろうという人が出てきてほしい」
――石原氏は消費税増税賛成だ。減税日本とは政策が正反対ではないか。
「実は、石原さんと会った時にその話をした。『一緒にやるには政策が違うじゃないか』と問うたら、彼は間髪入れずに、『中央集権打破、これで行こう!』といいました。それで石原さんも違いを乗り越えて組むことを真剣に考えていることがわかった。明治維新だって薩長土肥それぞれ考え方が違ったが、まとまって倒幕に動き、新たな明治政府ができた。『石原、河村、橋下が立ったら、政治が動く』。石原さんもそういっていました」
――橋下氏も減税に反対だ。
「橋下さんは『増減税はあくまで出口論で、入り口は統治機構の改革なんだ』といっている。民間でカネの回る社会にしたいという点は共通している。
たとえば、設備投資大減税。肉屋のおやじが冷蔵庫を買い換えた場合に、1年で減価償却できるようにすれば、銀行からカネを借りるインセンティブになるでしょう。それを橋下さんにいったら、『それならそれでええですよ。設備投資減税、しましょか』と。わしにいわせると、国家官僚が税金を集めて使う増税こそ中央集権のシンボル。中央集権打破で一緒にやっていけば政策はいずれ集約されていく」
●聞き手/福場ひとみ(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2012年8月3日号