人間の細胞には、時計のように約25時間のリズムを刻んでいる時計遺伝子があるといわれる。細胞が脂肪をため込む働きも時計遺伝子がコントロールしているので、そのリズムに合わせた食生活を送れば、無理せずにダイエットができるという。
山口大学時間学研究所教授の明石真さんは、こう解説する。
「時計遺伝子のリズムでは、脂肪をため込む酵素の産生が増えるのは夜。ですから夜に食べすぎると、余ったエネルギーが脂肪となって蓄積されてしまいます」
そのため、夕食は食べる時間がもっとも重要だ。脂肪をため込む酵素は、21時以降に産生量が増えるので、理想をいえば食事は19~20時ごろには済ませたい。しかし、忙しい現代人には難しいのが現実だ。
「厳密に時間にこだわらなくても、就寝時間から逆算して、3時間前までに食事を済ませれば大丈夫です。眠る直前に食事をすると、寝ている間も消化活動が続き、消化しきれないものが脂肪となって体にため込まれるので注意しましょう。眠っている間がもっとも脂肪をため込みやすいと考えてください」(明石さん)
さらに、夜は昼間と比べて活動量も減るので、エネルギーの消費も減少。食事で摂取したエネルギーも余りがちになるので、夜は食事を控えめにするのがダイエットのポイントだ。
ダイエットコーディネーターで、管理栄養士の牧野直子さんはこういう。
「夕食は、家族で食卓を囲んだり、外食で豪華な食事をする機会もあるので、1日の食事量の6割くらいを夕食で摂取している人が多いのですが、夕食の比率を4割くらいにすると太りません。
そして、夜は揚げ物など油を使った料理は控えめに。油を使った料理が2品以上にならないように注意し、主食、主菜、副菜の3つをバランスよくとるように気をつければ、カロリーコントロールにつながります」
また、朝の定番食材ともいえる乳製品や納豆も、実は夜がおすすめだ。
「牛乳などの乳製品のカルシウムの吸収率は、朝よりも夜のほうがよいことがわかっています。納豆には夜作られる血栓を予防する作用があるので、朝よりも夜のほうがおすすめなのです」(牧野さん)
また、お酒を飲むからと、食事はおつまみ程度で我慢して、バランスをとったつもりの人も要注意。
「実は、アルコールは意外と脂肪になりやすい糖質を多く含んでいるもの。深夜に飲むなら、缶ビール1本(350ml)程度がいいでしょう」(牧野さん)
※女性セブン2012年8月2日号