「円高・株安・デフレ」に悩まされ先行き不透明な日本経済。その中でいかに自分の財産を守ればよいか。「経済の千里眼」として知られる国際金融コンサルタントの菅下清廣氏が、いまこそ肝に銘じておきたい相場格言を3つ紹介する。
■機を待つに仁 機に乗ずるは勇
江戸時代、米の商いで莫大な富を得て「相場の神様」といわれた本間宗久翁が遺した名著『酒田戦法』のなかの言葉だ。投資チャンスが来るまでじっと待って、チャンスが来たら積極的に投資すべき、という意味だが、なかでも本間翁は「機が熟すまで待つ忍耐の心(仁)こそ肝要」という。
「上昇トレンドに転じるポイントを見極めるまではキャッシュポジション(投資資金)を高めておくことが重要でしょう」(菅下氏)
しかし、すでにチャンスの株もある。次の格言がその参考になる。
■不況の時こそ、その業界代表株を買え
アメリカの著名経済評論家ハーバード・カッソンの言葉である。
未曾有の大不況の真っ只中だが、各業界を代表する大企業であれば潰れる心配は少ない。こうした業界の代表銘柄は景気好調時には一般投資家が手を出せない高値をつけるが、長引く不況による業績悪化で空前の安値になっている今こそ、こうした銘柄を買う大チャンスなのだ。
だが、“まだ下がるかもしれない”という不安もあり、底値を見極めることは難しい。そういう時に判断基準となるのが次の言葉だ。
■半値八掛け二割引
相場の下落局面で下値のメドを見極めるときに使える言葉だ。江戸時代、大阪の薬問屋が、商品(1000円)が売れ残ったときにまず「半値(500円)」、続いて「八掛け(400円)」、さらに「2割引(320円)」して売り切ったことから、相場の世界でも「そこまで株価が下がれば買いが入る」といわれるようになった。
それより下がる余地は少なく、上昇トレンドに切り変わる目安になるとされる。現在は業界代表株でもそうした大バーゲンセール株がゴロゴロ転がっている。
※週刊ポスト2012年8月3日号