『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子の各氏が、毎号書き下ろしの時事批評を発信する。7月20日に配信された24号ではビートたけし氏が、一発屋芸人に苦言を呈する。以下、メルマガより一部公開する。
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最近テレビを観てると「一発屋芸人」ってのがひとつのジャンルになってるよな。そんな芸人の一人が「どうせ一発屋だろ」ってからかわれてるのを見て、オイラは「かわいそうなヤツだな」って思ってたわけ。さぞ本人は頭に来てるだろうって想像してたんだよ。
ところがそれは勘違いでさ。どうやら本人のほうから、自分が一発屋だってことをネタにしててね。しかもこの頃じゃ、ちょっと昔に流行った芸人を集めて「一発屋芸人」なんてくくりで芸をやらせてたりもする。
バカヤロー。どんなにネタに困っても、自分から「一発で終わっちゃう」なんていっちゃダメだよ。確かに芸人なんて一発当てるだけでも大変なんだから、長くやり続けるってことは至難の業なんだけどさ。結局テレビの世界の「使い捨て」のサイクルが早いからそうなっちまうわけだけど、それでも自分から「一発屋」って認めちまうのは寂しすぎるじゃないかよ。
そのプライドのなさってのは、たぶん売りにしている芸が「隠し芸」程度のものになっちまってるからだね。たとえば漫才だとか漫談だとかコントだとか本筋の芸ってものがしっかりしていれば、もっと上手くなってやろう、一発屋で終わってたまるかっていう意地も出てくるし、たまに一発ギャグみたいなものをやっても生きてくるわけだよ。オイラだって「コマネチ!」ってネタがあったわけだけど、別にそんなネタに頼って生きてきたわけじゃないしね。
その点、一発屋と呼ばれる芸人ってのは、その一発ギャグだけに頼っちまうからすぐ限界が来ちまうんでさ。もし一発屋がこのまま終わりたくないってんなら、新たな一発ギャグを考えるんじゃなくて、きちんとした芸を身につけることしかないんだよ。