不況下の株式投資で、なかなか「買い」や「売り」のタイミングを見極めることは難しい。しかし、こんな時こそ威力を発揮する、相場格言がある。「経済の千里眼」こと、国際金融コンサルタントの菅下清廣氏は、次のような相場格言を紹介してくれた。
■天井3日、底100日
山裾(底値)から時間をかけて徐々に上っていって頂上(高値)付近は急勾配になるが、そこを越えてしまうと一気に急坂(暴落)になり、その後の平地(底値圏)は長期間にわたるという相場一般の性格を言い表わした言葉だ。
「底値をつけて上昇する銘柄が少しずつ出始めています。“角度と時間が相場”という格言も同じですが、なだらかに上昇しているときの投資はいいですが、ペースが速まってチャートが急角度で上昇し始めたら、天井が近いことを察知するべきです。高値の時期は短く、再び長い期間をかけて底値に張り付くので大きく損をします」(菅下氏)
儲けのタネは株だけではない。金や資源など商品(コモディティ)市場もそのひとつだ。では、そこで活きる相場格言とは何か。
■商品市場の上昇トレンドは18年周期でやってくる
アメリカのヘッジファンドの大物で、伝説的投資家といわれるジム・ロジャーズは20世紀における商品市場の動向を分析してこう結論づけた。前出の菅下氏がいう。
「近年の商品市場を見ると、1999年に上昇トレンドが始まった。平均18年間周期で株式と商品が代わる代わる上昇するというロジャーズ氏の理論からいえば、だいたい2017年までは商品の高騰が続くと見ていい。
現在、ユーロ危機の深刻化を受けて、世界の投機マネーが商品市場から資金を引き揚げて、商品価格は大幅に下落しています。しかし、これはあくまで一時的なものと考えられる。つまり今は絶好の買いチャンスがやってきているのです」
ロジャーズはそのほかにも、「株価が下がるときに商品価格は上がる」、「政治的混乱は不幸だが、商品価格を押し上げる」ともいう。まさにいま、商品買いの好機なのである。商品投資に関しては、菅下氏の著書『相場の波動はシンプルに読め!』(小学館刊)に詳しいので参考にしてほしい。
※週刊ポスト2012年8月3日号