(「【衝撃連載1】27歳監禁女王様が19歳調教彼氏に殺されるまで」の続き)
吉田の親族が語る。
「美絵さんと付き合い始めてから、あんなに明るかったあの子がみるみる痩せて塞ぎがちになっていきました。子供の頃から知っているが、会えば挨拶を欠かさないいい子だったのに……。どうやら彼女の一方的な思い込みで浮気を疑われていたらしい。彼女の詰問は時には何時間も、数日にもわたって続いたそうです。いくら“事実無根だ”と説明しても全く信じてもらえなかったらしい」
あまりの粘着ぶりに吉田も音を上げた。交際を始めてからわずか2週間ほどで吉田のほうから別れ話を切り出したという。しかしそれが「異様な恋愛」の始まりだった。裁判によれば、美絵さんは吉田にこう迫ったという。
「別れるなら婚約破棄になる。慰謝料を払え」
「双子を妊娠している。養育費を払え」
プロポーズも妊娠の事実もなく、吉田は困り果てた。慰謝料と養育費の総額は200~300万円だとも告げられたという。
「もう付き合っていられない」――そういって吉田が連絡を絶つと、美絵さんは吉田の職場であるホテルや実家にまで押しかけてくるようになった。それは連日のように繰り返された。
「美絵は吉田に“探偵を雇って行動を監視している”“あなたの秘密は何でも知っている”と告げており、面識がないはずの吉田の友人を伴って勤務先に現われたこともあった。吉田は最後には“自分の周囲の人間は全て美絵に通じているのではないか”という恐怖で動けなくなるほどの精神状態だったらしい。
一方でまだ社会経験が乏しく“慰謝料を払わねばならない”と信じこんでいた。そのため高額な慰謝料や養育費を請求されて実家に迷惑をかけることを恐れ、両親にも相談できなかった。2月半ばにはついに旅館も辞めてしまい、そこから“半監禁状態”ともいうべき生活が始まった」(2人を知る知人)
職を失い収入が途絶えた吉田と美絵さんは、車やホテルに寝泊まりする生活を送るようになる。前述した窃盗事件も、その生活費を稼ぐための犯行だった。
この間の美絵さんによる「調教」は想像を絶するものだったとされる。被告側弁護人の冒頭陳述によれば、この時期、美絵さんは吉田の友人男性を呼び出し、吉田の眼前で見せつけるかのようにセックスに及んだという。
その行為は、別れ話を持ち出した男に対する容赦ない「仕打ち」だったのか。それとも、愛する吉田を嫉妬させるための「歪んだ愛」だったのか。いずれにしても、このエピソードが事実であれば、2人の関係が非常に倒錯したものであったことは間違いない。
さらに吉田は、実家が貧しいことを美絵さんから馬鹿にされ、そのくせ両親から金を借りてくるように命じられ、従っていた。
もはや「衣・食・住・性」すべてにおいて吉田は美絵さんのなすがままだったのである。(つづく)
※週刊ポスト2012年8月3日号