プロ野球の輝かしき記録といえば、張本勲の3085本安打達成や金田正一の400勝、王貞治の868本塁打などがあるが、約75年間にわたるプロ野球の歴史の中には、“不名誉”な記録も存在する。悲しいけどどこか笑える、選手たちの汗と涙の「不名誉記録」をご堪能あれ。
たとえば、1イニングで2回盗塁死もある。今年3月、1死一塁の走者・中島裕之(西武)は日本ハム・武田勝の牽制に誘い出されたが、二塁手の悪送球で一塁に戻り命拾い。この時点で中島の盗塁死と二塁手の失策が記録され、2死後再び牽制で飛び出してタッチアウト、2回目の盗塁死となった。
盗塁死といえば、史上唯一、1試合で二盗、三盗、本盗をすべて失敗するサイクル盗塁死の達成者がいる。1979年5月、日本ハム-ロッテ戦で、日本ハムの加藤俊夫が記録。このシーズン、加藤は9回の盗塁失敗をしているが、その3分の1を1日で達成した(1試合3盗塁死は日本タイ記録)。
そのほか、“痛い”不名誉記録では、3球連続自打球がある。1999年に巨人・後藤孝志、2009年に阪神・ブラゼルが記録した。
別の意味で痛いのは、サイクルアウト(1人の選手が、1試合の中で三振、併殺、三重殺)である。1975年7月の巨人-阪神戦で、田淵幸一(阪神)が達成。田淵は2回に三振、4回に1死一塁で三塁ゴロ併殺、7回に無死一、二塁から捕手ゴロで三重殺を食らった。たった3打席での“快挙”だった。
そして極めつきは、逆転サヨナラ満塁エラーである。1950年5月の大映戦(後楽園球場)、5対3とリードした9回裏、西鉄は2死満塁のピンチを迎えた。ここで西鉄は、守備に難のある木暮力三をライトからレフトへ入れ替えた。しかしあろうことか、打球は木暮の元へ。悪い予感は的中し木暮は落球、3人生還で逆転サヨナラ満塁エラー達成となった。
※週刊ポスト2012年8月3日号