1台の車を会員制で共有し、“ちょい乗り”使用者に向けた「月額1000円、15分200円」など安価な料金体系で話題となっているのが、カーシェアリングと呼ばれるサービスだ。
同サービスを利用している都内在住のサラリーマン(45)が話す。
「これまでマイカーを手放したことはありませんでしたが、高騰する燃料費や駐車場代、そのほか税金や保険、メンテナンス代など月換算すると6万円超の維持費がかかる一方、週末に家族で出掛ける以外にはほとんどクルマに乗らなかった。それならばと思い切って売却し、カーシェアにしたところ月1万円程度で済むようになりました」
現在のカーシェア市場は、会員数約17万人、台数約7000台、車両拠点約5000か所といわれ、まだ一般的な認知度は低いが、トヨタ自動車が本格参入を予定していることから普及のスピードが一気に増すものと見られている。
「カーシェアサービスの先駆けであるタイムズ24は、各地に点在する時間貸し駐車場をシェア拠点にして、24時間365日体制でインターネット予約ができるなど、ユーザーが利用しやすい環境づくりを追求してきた。トヨタは自前のレンタカー店を活用するために、駅前拠点や車種の豊富さが利点になるだろう」(業界紙記者)
あまりにもカーシェアが普及し過ぎると新車が売れなくなるのでは? との懸念もあるが、一方で巷間いわれ続けている「若者のクルマ離れ」に歯止めがかかるきっかけになるのではと期待する声も多い。
自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの福田俊之氏がいう。
「若者はクルマ自体に興味がないわけではなく、経済的負担からローンを組んでまで買うのは御免だと思っているだけ。だから、魅力的なクルマに触れる機会がないというのが実情なんです。でも、カーシェアで気軽にいろんな車種に乗ることができたら、ゆくゆくは新車の購入動機につながる可能性もあります」
前出のタイムズ24は独BMWと組んで「ミニ」のカーシェア導入や電気自動車(BMW ActiveE)の実証試験も繰り返している。
いわゆるレンタカーでお馴染みの車種のみならず、レクサスのような憧れのクルマが手軽にシェアできるとなれば、若者の常識が変わっても不思議ない。