中国は経済の目覚ましい伸長とともに技術革新も著しい。しかし、依然大メディアの報道からは見えない部分が多いのもまた事実。中国に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏が指摘する。
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今年六月、中国にとって国威発揚となる重大ニュースが空と海から相次いで届けられた。
一つが先に打ち上げた天宮一号と神舟九号の手動によるドッキング成功ニュースである。そしてもう一つは、中国がマリアナ海溝で行なっていた深海探査で、それまで最深記録を誇ってきた日本を上回り中国の「蛟龍号」が七〇〇〇メートルの深海に達したというニュースであった。
いずれのニュースもメディアが大々的に報じたために、中国の技術革新が凄まじい勢いで起きていることを国民に印象付けたに違いない。
なかでも天宮一号と神舟九号の有人宇宙飛行実験については、中国初の女性宇宙飛行士の誕生として既にNEWSポストセブンでも取り上げたとおりであるが、宇宙から帰還したカプセルが内蒙古に着地して以降のはしゃぎっぷりは異常なほどであった。
女性を含む三人の宇宙飛行士たちの宇宙滞在時には、地上との交信では例によって様々なイベント的な報道が目立っていたのだが、その露出の多さのなかでも徹底して隠された一つの情報があったことは案外知られていない。一体何か?
「実は女性宇宙飛行士が持っていたものなのです。宇宙からの地球を撮影する際に手にしていたカメラなのですが、それがニコン製だったのです。テレビの映像では、そのブランドが分からないようにかなり気を使っていました」(北京のメディア関係者)
国威発揚の使命を負った宇宙で、日本製のカメラはいかにもまずかったということか。中国も案外デリケートなのかもしれない。