昨年、NHKの有働由美子アナウンサーが話題になった“わき汗”や、わきがを気にする女性が最近多いという。 精神科、外科を経験後、20年以上わきがなど体臭の治療を行っている五味クリニック院長・五味常明先生はこう語る。
「わきがの原因アポクリン腺を持つ人は、欧米人で約8割、日本人では1割です。そこからの汗は、たんぱく質や脂質、アンモニアなどを含むため、におうのです。
アポクリン腺は“いくらの粒”くらいの大きさで、根こそぎ取り除くことができれば、100%わきがをなくすことができます。そのため、目で確認しながら1つずつ根気よく取り除く『直視下』の手術が最も効果があります」
「直視下」の手術のほか、汗を半年ほど減らしてにおいも抑えるボトックス注射を打つ施術、ほかのクリニックでは一部だけ取り除く手術もある。
「アポクリン腺の有無は、耳あかを見ればわかります。耳あかが、溶けたキャラメル状であれば、わきがの原因であるアポクリン腺の数が多く、強度のわきがの可能性が高い。遺伝要素があり、家族全員がわきがの場合、気づかないこともありますが、下着が濃く黄ばむ場合も強度のわきがの可能性があります」(五味さん・以下同)
綿棒が湿るような水っぽい耳あかの場合には、軽~中度なので、五味クリニックでは、基本的には手術をすすめていない。
「わきがの悩みで受診する人の7割が気にしすぎで、手術を必要とするほど重度ではない軽~中度の人、もしくはまったくわきがのない人です」
においの悩みは、周囲の人を無視できないからこそで、性格がやさしい人ほど悩む傾向にあると話す。
「問題は気にしすぎて自己否定となり、対人恐怖など日常生活に支障が出ることです。それを解消できるようメンタルケアも行うことで、不要な手術を避けることができます。また手術は左右別々にすると患者自身がその効果を正当に評価できるようになり、においの悩みを小さくする効果があります」
心の問題を扱うことを表明している施設は少ないが、メンタルケアになるようなしっかりとしたカウンセリングを行ってくれる施設を選びたい。
※女性セブン2012年8月9日号