忘れたくても忘れられないあの日から約1年5か月。一時、休業を余儀なくされた『スパリゾートハワイアンズ』(福島・いわき市)が福島第一原発の事故後、今春営業を再開してから“初めての夏”を迎えている。休業の間も全国を回って笑顔と踊りを届けていたフラガールたちと話がしたくて茨城県出身の本誌オバ記者(55才)も“ハワイ”入り! 以下、オバ記者のレポートだ。
* * *
今年4月にフラガールになった新人ダンサーがいる。7月13日、彼女たちは初めて観客の前で踊った。
その4人に話が聞けた。滋賀県出身の井上茜さん(18才)は「映画の『フラガール』を見て習い始めたら本格的に続けたくなって就職しました。高校の先生には、福島に行くことを心配され“大丈夫なの?”といわれましたけど、家族とか友人は“がんばって”といって送り出してくれました」
東京都出身の谷合瑠莉さん(19才)は「どうしてもフラダンサーになりたい」と親にいい続けた。
「5才からフラダンスを習っていて中学、高校の部活もダンス部。親は原発のことよりもひとりでやっていけるのかを心配していましたね」
西尾涼子さん(18才)は福島市出身で「去年の12月に、高校にきた求人票を見たのがきっかけ。ヒップホップやジャズダンスを習っていたので興味を持って企業見学で初めてショーを見て即決した」そう。フラは初心者だ。
高浜美咲さん(19才)は北茨城市出身。
「ハワイアンズは近かったので家族とよくショー目的で来ていた」根っからのフラガールだ。震災で自宅が被災し、福島市に約1か月避難するつらい経験もしたが、いまでは客席から見上げていた憧れの先輩と踊れることが何より楽しいという。
寮で暮らす彼女たちは8時間勤務で午前中は自主トレで、自分の弱点や筋トレをする。
午後1時から午後7時ごろまでメイクの練習、クラシックバレエ、声楽、華道、茶道。それから当然フラダンスのお稽古。「昔、ハワイアンズは花嫁学校と呼ばれていたそうです(笑い)」(前出・井上さん)というのもうなずける業務内容だ。
健気にも「いまはアップアップですけどいつか先輩のように日本を元気づけたい。フラガールからもらった夢や希望のお返しができたらいいと思います」(高浜さん)と、まっすぐな目でいう。
※女性セブン2012年8月9日号