NHKの朝ドラに、ちょっとした“異変”が起きている。以前はヒロインの女優ばかりが脚光を集めてきたが、最近ではイケメン俳優が新境地を開拓する場としても注目。出演を機にブレークする俳優も出てきた。
「最近の朝ドラは、30代以降の女性のハートをぎゅっとつかむようなイケメン俳優の起用がうまいと評判になっていますね。次に大ブレーク確実の俳優ということでも、民放を含めてドラマ業界でも注目が集まっています」
こう話すのは、あるドラマ制作関係者だ。
現在放送中の朝の連続テレビ小説『梅ちゃん先生』では、高橋光臣(30才)の人気が急上昇している。高橋が演じるのは、帝都大付属病院の医師・松岡敏夫で、堀北真希演じる町医者“梅ちゃん”の恋人役。7月25日に都内で行われた『梅ちゃん先生』のイベントでは、高橋が登場すると、会場の女性から「キャー、松岡先生!」と大歓声が上がった。午後1時からのイベントだったが、朝9時半からつめかけた女性もいたほどで、50人ほどの席にはいりきらず、400人以上が集まる人気ぶり。
高橋はこれまで戦隊モノ『轟轟戦隊ボウケンジャー』(テレビ朝日系、2006年)、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(フジテレビ系、2007年)などに出演していたものの、知名度は決して高くはなかったが、今回の役で一躍、ブレーク。
「恋愛にはちょっとおくてな“昭和の男性”をコミカルに演じていて、思わずクスっと笑ってしまう表情が女心をくすぐりますね。番組プロデューサーはオーディションで最終候補に何人か残した中で、直感で高橋さんを選んだそうです。いままでの高橋さんを知っているファンにとっては新しい魅力に映り、新しく彼を知った人にとっては“松岡先生”と重ねあわせてときめきながら見ていると思います」(ドラマ・映画評論家の松原正美氏)
前作の朝ドラ『カーネーション』では、綾野剛(30才)が長崎からやってきたぼくとつなテーラーを演じ、認知度を高めた。綾野はヒロイン・尾野真千子の初恋相手で、やがて“不倫関係”となっていく周防龍一役。
「綾野さんのイメージを一変させましたね。それまでは粗暴でどこかカゲのある役が多かったのですが、髪を切り精悍なイメージに変わった。さらに、長崎弁をぼそっと話すあったかな雰囲気と、綾野さんの切れ長の目やキレイな顔や彼本来のミステリアスな雰囲気とのギャップに魅せられた人も多かったのでは」(前出・松原氏)
さらにその前の朝ドラ『おひさま』では、ヒロイン・井上真央の夫役として高良健吾(24才)が出演。これまで映画を中心に活躍してきた高良が、初めての父親役を好演するなどし、新たな魅力を見せた。
前出・ドラマ制作関係者が、こうしたイケメン俳優起用の事情を解説する。
「2年前の『ゲゲゲの女房』で向井理さんが主婦層に人気を集めて視聴率をアップさせたことで、このころからNHKの制作サイドとしてもイケメン俳優の起用に重点を置くようになっています。最近はヒロインにはすでに知名度がある女優を起用する傾向がありますが、その相手役には、まだ主婦層に知名度が少ない人を起用し新たな魅力を引き出すことで、視聴率アップにつなげようという狙いがあるのでしょう」
来年4月からスタートする『あまちゃん』のヒロインには、能年玲奈(19才)の起用が発表されたが、この作品ではどんなイケメン俳優が出演するのかも注目だ。