1997年以来となるAクラスで、前半戦を折り返した広島東洋カープ。最大『11』まで膨れ上がった借金を完済しての勝率5割での折り返しで、初となるクライマックスシリーズ出場も視界に入ってきた。
広島は、1975年の初優勝から10年間でリーグ優勝4回、日本一3回を記録。古葉竹識監督のもと、山本浩二や衣笠祥雄を擁し、常勝の名をほしいままにしていた。北別府学や大野豊、川口和久といったエースの活躍で『投手王国』と呼ばれた1980年代は、Bクラスわずか1回。安定した力を発揮していた。
だが、1993年のドラフトでの逆指名制度導入以降、有望株の新人獲得がうまくいかず、成績がふるわなくなる。加えて、その年に始まったFA(フリーエージェント)制度により、川口(広島→巨人)、江藤智(広島→巨人)、金本知憲(広島→阪神)、新井貴浩(広島→阪神)、黒田博樹(広島→ドジャース)と、次々に選手が移籍。1998年から14年連続Bクラスと低迷していた。
しかし2007年にドラフトの逆指名制度が廃止。ここが「目に見えない転機となった」と、野球担当記者は解説する。
「今年、2012年はドラフトにいわゆる逆指名制度がなくなってから5シーズン目に入ります。育成力と練習量に定評のある広島に、ようやくチャンスが出てきたといえるでしょう。
投手では1位で獲った野村祐輔(2011年)、今村猛(2009年)が安定した活躍をし、野手も1位の岩本貴裕(2008年)、2位の堂林翔太(2009年)が成長。ドラフト戦略が当たっています」(野球担当記者)
思えば、ドラフト逆指名制度導入から5年が経った1998年から、広島は長期にわたる低迷時代に突入した。そして今年はドラフト逆指名制度廃止から5年。ジンクス通りなら、広島がいよいよ長期好成績時代に突入するのかもしれない。