滋賀県大津市の中学2年生の生徒が自殺した件を機に問題となっているいじめ。同じように、いじめが原因で息子が自殺した遺族が悲痛な告白を寄せた。
1994年に同級生4人から受けていたいじめを苦にして、自ら命を絶った大河内清輝君(享年13)。愛知県西尾市の自宅には、いまも学生服姿の清輝君の遺影が飾られ、大きな白百合の花が供えられていた。父・祥晴さん(65才)はこの18年間、毎日遺影に手を合わせ、清輝君にいろいろ語りかけているのだという。
「清輝が服を汚して帰ってくることもあったのに、私は気づいてあげられなかった。清輝に対しては、本当に“ああすればよかった、こうすればよかった”という思いがいっぱいで。謝っても謝りきれない。謝るなんて言葉ではいえないものがあるんです」
大河内さん夫婦は清輝君が自殺した後、いじめに苦しんでいる子供たちに向けて、メディアを通してさまざまなメッセージを送った。すると、全国の子供たちから反響があり、驚くほど多くの手紙が寄せられた。いじめを受けている子供たちから電話でも相談を受け、1995年の夏休みには、全国から子供たちが来て、大河内さんの家に泊まっていったこともあった。
「その子たちが、悲しい気持ちから私たちを解き放ってくれた。本当にそのことで救われたと思っています」(祥晴さん)
清輝君が亡くなった時は、多くの生徒が自宅に弔問に訪れ、学校ではその年の3学期に、生徒たちによるいじめ撲滅運動の「いじめバスターズ」を立ち上げた。翌年には「ハートコンタクト」と名称を変え、その活動はいまもなお後輩に受け継がれている。
また、いじめた生徒たちはもう32才になるが、いまでも清輝君の命日にはお参りに訪れ、毎年お参りに来る両親もいるという。
大津の件では、加害生徒とその両親はいじめの事実を否認している。だが、大河内さんはこういう。
「いまからでも遅くない。(大津の件で)いじめをした3人の子供は、警察に話す前に、亡くなった子の(遺影の)前で、家族に直接何をしたか話してほしい。それが、子供たちに残された唯一の道ではないでしょうか」
※女性セブン2012年8月9日号